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【29.jpg:教会のエンタシス柱の台座のライオン】 |
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●「ハンニバルと象」がギエストル(推定)を進軍した当時の状況など−− ポリビオス(BC200-BC118)の記述による。「」は推定の地名 −−●前のポイント「Embrun〜Mont-dauphin」← 【●ハンニバルの有力推定ルート】 →●次のポイント「Queyras渓谷」
約4.5カ月前スペインを出たカルタゴの軍は、「ローヌ川〜ドローム川〜デュランス」川をさかのぼる。 「Mont-Dauphinモン・ドーフィネ」で、軍は北の「ブリアンソン」への道を取らず、地元のガイドの案内で、東に「ギル」川にそってこの地に差しかかる。 <この地のハンニバル> 通過するカルタゴ軍の規模は、歩兵3.5万人、騎兵7.6千騎、象26頭。 「Embrun〜Mont-Dauphin付近」でキャンプを張り、紀元前218年10月17日頃にこの地へ。アルプスの登り道から7日目。イタリア国境の峠越えまで残り8日。 この付近の部族の案内人(注)を連れ、食料も得て大きな問題もなく進んでいく。 (注:前々日「Espinassesエスピナス」付近で、地元の部族の長老らが友好のしるしを持って挨拶に来た。そして山への道案内人と食料を提供したいと申し入れる。ハンニバルは、人質を差し出すことを条件に受け入れた。) ●ハンニバルの象の種類など
ハンニバルは40頭ほどの象を率いて戦いに出ましたが、その象の種類は、マルミミ象(アフリカ象の亜種)と、インド象と想定されている。 <象の種類と特徴> ・アフリカ象:肩高3-3.5m、重さ6-7.5ton・・・耳大きい、背中の中央低い、アフリカ・サハラ砂漠の以南のサバンナに住む。 ・マルミミ象(アフリカ象の小型の亜種とも言われる):肩高2.1-2.4m・・・耳はアフリカ象の1/2、西アフリカの森林に住む。 ・インド象(アジア象):肩高(雄)2.7-3m、重さ4-5ton・・・耳はアフリカ象の1/3、背中丸い、アジア南部。 貨幣に刻まれた象の大きさなどから、ほとんどはマルミミ象(アフリカ象の小型の亜種)。そして数頭のインド象がいたようである。最後まで生き残ったハンニバル乗用の象「スールス(シリア人)」はインド象とされる。 象の平均寿命は50-70歳。おとなしく、アフリカ象といえども凶暴ではなく(雄の発情期は危険)、象使いの指示で家畜や軍役に用い得た。馬(肩高1.2-1.7m)での戦いにも、象は高く巨大なため、敵を威嚇するためにも有効であった。 <象を用いた当時の戦闘> ・BC4世紀、ペルシャ王バーレイオスは「インド人にならって、象を兵器にはじめて使った司令官」といわれる。 ・BC326、「巨人王ポールス」は大象に乗り、300頭もの象を駆使してアレキサンドロスを悩ませた。 アレキサンドロス大王は、インド象をエジプトに連れ帰り定住させた。さらにアフリカ象も捕らえ馴らすようになった。 ・BC321-312、プトレマイオス1世は、ペルディッカスの軍象を何頭か捕らえた。ガザで象43頭を捕らえる。 ・BC280、ピュルロスがローマに侵攻、象20頭を用いた「ヘラクレアの戦い」。 ・BC246-241、プトレマイオス3世は第3次シリア戦争でセレウコスを破り、多数のインド象を手に入れた。 ・BC217、「ラフィアの戦い」でエジプト軍(マルミミ象=アフリカ象の小型の亜種=73頭)と、シリア軍(インド象102頭) が戦う。エジプト軍(プトレマイオス2世)が勝ち、インド象を入手、ハンニバルに贈った。 このように、当時の戦いで象を用いることは珍しいことではなかった。 ただ、戦いで狂いたった象は、敵・味方双方に害を与えたため、アレクサンドロスなどは自軍に象部隊を使わず、荷役のみとしていた場合もある。 −−− →ハンニバル軍はギル川にそってさらに東に、Queyrasケーラス渓谷に向かいます。 ●前のポイント「Embrun〜Mont-dauphin」← 【●ハンニバルの有力推定ルート】 →●次のポイント「Queyras渓谷」 ・・・皆さんの想定、推測情報などありましたらお願いします 参考資料: この記載情報はポリビオス(BC200-118)の記述による。これをもとにルートを推定・解説している本は以下のものである。 ・Gavin de Beerギャヴィン・デ・ビーア 『ALPS and ELEPHANTSハンニバルの象』時任生子訳:博品社(G-page) ・John Prevasジョン・プレヴァス『HANNIBAL CROSSES THE ALPS ハンニバル アルプス越えの謎を解く』村上温夫訳:白水社(J-page) ・Hans Baumannハンス・バウマン『ハンニバルの象つかい』大塚勇三訳:岩波書房:(H-page) ・The Green Guide:『French Alps』2001 Michelin:(M-page) ・實吉達郎著『アフリカ象とインド象』光風出版1994.10 など |
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【ヨーロッパ・アルプスのハイキング地図】 【国別地図】 【日本語ガイド本】 |
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