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【ヨーロッパ・アルプスのハイキング地図】
  【国別地図】  【日本語ガイド本】

モン・スニ峠の国境

Mont Cenisモン・スニ峠(1):イタリア側
 ・・・ロッチャメローネの山は、中世においてはアルプスのどの山より高いと信じられ信仰されて・・・ 【
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 世界最古の登山鉄道はモン・スニ峠にあった? 1874年にフレジュス・トンネルが開通するまで、モン・スニ峠は重要な街道でした。



 スーザの町に入ります。スーザ渓谷からも見えていましたが、正面の端正な頂上を持つ、雪の頂きはRocciameloneロッチャメローネ山(3538m)です。遠近法から見てもすごい高さに見えます。そしてモン・スニ峠への道も、この雪の三角山を右手に見ながらの街道です。と同時に左の方に、クラピエ峠(ハンニバルの第2の候補峠、Clappier峠:2477m)が見えるのではないかと期待したのですが・・・<2005年9月スーザ泊:紀行も参考に


●Rocciameloneロッチャメローネ山(3538m)

Bonifacio Rotario d'Astiボニファチオ・ロタリオ・ダスティが、1358/9/1にこの山の頂上にブロンズ像「聖ゲオルギウスSt Georgios 、聖母」を祭った。

・彼は東ローマ帝国の捕虜になったとき、故郷のアルプスの一番高い頂きに礼拝堂を建てることを誓い、帰郷できたから。

・このロッチャメローネ山は、中世まだ測量技術の無い時代には、この周辺でどこより高い山とみなされていたという。

・この周囲の、モンヴィーゾ(3841m)、ペルヴー(3946m)、ヴァノワーズ(Grande Casse:3852m)、チェルヴィーノ/マッターホルン(4478m)、モンテローザ(4634m)、モンブラン(4807m)など周りの高い山をさしおいて・・・
<参考資料:イタリア旅行協会公式ガイド:ミラノ・イタリア北西部p31>
Rocciamelone


【25.jpg:スーザの町に入る。Oeveysから見えた雪山Rocciamelone(3538m)が正面に】



【34.jpg:Rocciamelone(3538m)がそびえるように見える。このもう少し左にクラピエ峠が見えるのではないかと期待したのですが・・・】


【47.jpg:峠道を登り出して間もなく。イタリア国旗があるということは?】


【49.jpg:Rocciamelone(3538m)の雪山】



 ロッチャメローネ山の稜線が西に続き、木々の間からその続きの岩山が現れます。イタリア側の斜面は、それほどジグザグのコースを取らず国境に向かっていきます。

 交通量もそれほど多くなく、周りの山などを時々ちらっと見ながら、1400ccのパワーのないゴルフで精一杯の70km/hほどで登って行くと・・・後ろから来た同じゴルフ、車体は赤。排気量でかいのか、あっという間に僕らの車の後ろに来ました。アベック、運転は、やせ気味のあまりもてそうに見えない男の子、横にはあまり目立たない普通の女の子。

 ところがこの車、車間1-2mほどにピタットくっ付いて、前方が十分に見えるはずなのに、追い越しません。この「くっつき虫」追い越したくないようです、いやですね! 助手席の女の子は、なにか心配そうな顔をしているようにも見えます。ここでブレーキかけたらどうなるの?とこっちも心配するほど。・・・で、空き地があったので「先に行ってくれよ」と右に寄ります。なぜか彼は車を並行して徐行し、窓を開けて・・・意味不明の雑言をはいて追い越していきました。初めての彼女を乗せてのドライブ、かっこいいところを見せようとしたのでしょうか?


【80.jpg:右にRocciamelone山の稜線が続き・・・】


【88.jpg:その稜線がさらに西に続き・・・】


【94.jpg:フランスの国境に入る】

 フランス国境に到着です。あの左にあるトンネルのようなものは、鉄道のためのものでしょうか?



【モン・スニ峠のルートとフレジュス・トンネルのルート
  (クリックで拡大) 】
Mont-Cenisモン・スニ峠、Fellフェル鉄道、Tunnel-Frejusフレジュス・トンネルについて
 (イタリアSusaスーザと、フランスModaneモダーヌ間の、交通の歴史:主要ルート・物流の大きな変化)



・Mont-Cenisモンスニ峠は古代からのルート。(古代ローマの道は、Montgenevreモンジュネーヴル峠の道のほうが古そうです)。しかし険しい山道が続くルートで、旅人にとっては難所であった。

・1811年:ナポレオンの指示でモンジュネーヴ峠(1804年)、シンプロン峠(1805年)、とともにこの峠も整備(1811年)され、このモン・スニを通過するナポレオン街道もヨーロッパ有数の街道となる。

・しかし、フランスのLanslebourgランスルブールと、イタリアSusaスーザ間の乗り合い馬車は、馬車の馬を途中でしばしば取り替え無ければならないほどの峠道だった。

・Victor-Emamanuelヴィクトル・エマニュエル鉄道。
 鉄道の敷設はサルディーニャ王国で始まり、1860年にフランス(1860年サヴォワ地方はフランスに割譲)のCuloz(シャンベリーの約30km北西)と、Saint-Jean-de-Maurienne(モダーヌの約30km北西)に建設された。その後、Saint-JeanとSaint-Michelサン・ミシェル間も建設されたが、サン・ミシェルからモンスニ峠を越えてスーザまでは馬車だった。(Yukiさんからの情報)
(サルディーニア王=ヴィクトル・エマニュエル王/ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の時代、1859-70年、サルディニアからシチリア島までのイタリア半島に散らばる小国を統一した。)


・1868年:Fellフェル鉄道がモン・スニ峠を走る。モン・スニ峠鉄道 (Mont Cenis Pass Railway)
 (ジョン・バラクルー・フェル(1815-1902年)方式。1868年に建設、トンネル開通(1871年)までの4年間営業していた。St.Michelサン・ミシェル〜Susaスーザ間。普通のレール間に第三のレールをやや高めに据付け、水平の一対の動輪がこのレールを挟み込んで登る=粘着駆動システム。(チャールズ・ヴィグノルスと、エリクソンの特許方式)。線路は、ほぼナポレオン街道に沿って走っていた。)

<参考:歯軌条/粘着駆動/梯子状ラックレール>
 (1847年:レール間に歯軌条を置いた最初の鉄道は、1847年、アメリカ・インディアナ州マディソン近くのジエファーソン勾配線。現存せず。)
 (1854年:セメリンク/ゼンメリンク鉄道Semmering Railway開通。オーストリア。アルプスを越えた初の鉄道。世界遺産
 (1868年:粘着駆動方式のここの「Fellフェル鉄道」は、1868年開通でヨーロッパ最古。ただし現存せず。)
 (1869年:マーシュ式(梯子状ラックレール)。アメリカのワシントン山登山鉄道は、1869年7月3日開業。現存する世界最古のラックレール方式の鉄道。)
 (1871年:ラックレール=歯軌条=方式の、スイスリギ山のVitznauフィツナウ〜途中駅のRigi Staffelhoheまでの開通は1871年5月21/23日。現存するヨーロッパ最古の登山鉄道。)


・1871年:Tunnel ferroviaire du Frejusフレジュス列車用トンネル開通
 Modaneモダーヌ〜Bardonecchiaバルドネッキア(バルドンネーシュ)間
  1857年着工-1871年9月17日開通式・・・:大アルプスに最初に作られた列車用のトンネル。長さ13.66km。
  モン・スニ峠鉄道が置き換えられたことの名残りで、フランス側ではフレジュス鉄道トンネルのことを「モン・スニトンネル」と呼ぶことが一般的。

・1980年:Tunnel routier du Frejus フレジュス自動車用トンネル開通
 1980.7営業開始。長さ12.87km

−−−
・このトンネル開通により、モン・スニ峠を通る交通量は激減し、フレジュス・トンネルを通過するようになる。

・1999年3.24-2002.3.9のモンブラン・トンネルの火災事故閉鎖の間は、その交通量がこのトンネルと、グラン・サン・ベルナール・トンネルを迂回した。それらの谷への排ガスなどによる影響も少なくなかった。


参考資料:
 本『アルプス登攀記』ウィンパー著、浦松佐美太郎訳、岩波文庫(1936.5出版) 上:p87-【モン・スニの峠越、ヴィクトル・エマニュエル鉄道、フェル鉄道、モンスニのトンネル工事など】
 本『アルプス越え鉄道の今昔 昔モンスニ 今LTF』福地合一著、交通新聞社(2003出版)【トンネル建設・歴史など詳しい】
 本『鉄道ギネスブック』Richard-Balkwill他著、イカロス出版(1998.3出版):【p68-フェル鉄道、登山鉄道と歯起動式鉄道など】
 本『Geographie des Chemins de Fer Francais』Chaix(Paris)社(1956年出版)【Victor-Emamanuel鉄道、Fell鉄道のこと】
 ・「世界の登山鉄道」【土木知識・・急勾配を登り降りするシステム】
 ・「世界の山岳鉄道」【J.Kasaiさん。山岳登山鉄道専門館:ワシントン山登山鉄道情報】
 ・「The Mount Washington Cog Railway」【ワシントン山登山鉄道:history:1869年7月3日に、世界で最初の「歯車の歯で駆動される列車」とある】
 ・「SFTRF:http://www.tunneldufrejus.com/english/」【CFEIT(Centre de Formation et d’Entrainement aux Techniques d’Intervention en Tunnel )】
<付近のWebサイトなど>
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●イタリア・トリノ:2006年冬季オリンピック関係




<モン・スニの発電設備、ダム、湖が見えてきます・・・・>
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