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Ristolas リストーラの村-1 ・・・数百頭の羊を率いていく純白の犬

ハンニバルの進軍状況  この村で3泊4日の滞在・・・ハンニバルの足跡をたどるベースキャンプにします。
羊の群れに会ったのは2回目ですが、ここの羊は太って おっとり。この群れの管理を、昼夜とも彼に任せているのです。
フランス:(05)オート・アルプ県】 [北村 峠一].(Kitamura)     
        「マレンマ・シープドッグ」または「グレート・ピレニーズ」


 Abriesアブリエスの村から南に、Guilギル川を源流に向かって広い谷をさかのぼります。途中の村で二つ星の宿のマークが見えました。が、まだ自動車道が続いているので、先に行ってみます。僕たちの旅は峠が中心なので、峠の前によさそうな宿がなければ、峠の向こうで探すことにしています。ところがここは渓谷、行き止まり。行った先に宿らしいものはなく、山に登る人たちと駐車場だけでした。山の氷河の冷気でか、ひんやりした空気。車内で持参のパンとりんごで軽い昼にし、宿を決めるためこのRistolasリストーラの村まで戻ってきたのです。まだ午後1時過ぎです。


【111.jpg:ギル川の対岸にリストーラ村が見えてくる。正面はイタリア国境の2800mクラスの山】

 ハーフペンション(2食付き)、42ユーロ(5千円以下)という看板が道路から目立つところに掲げてあり、大きなクマのモニュメントが庭先にあります。 このアルプスエリアを縦横に走るトレッキングルート上(この付近はGR58)にありますから、ほとんどの人が予約なしで泊まるのでしょう。宿の名前は「l'Hotel du Queyr' de l'Ours:ケーラスの熊の宿」。2つ星の山岳ヒュッテで、僕たちは2人部屋でしたが、部屋への行き来で、時々空いているドアから見える他の部屋は2段ベッドの多人数部屋でした。(Giteジットというようです)。宿のマダムに最初2泊でお願いしましたが、もっとゆっくり休みたいという気持ちです。

 南仏のドライバー、猛スピードで狭い曲がりくねった渓谷を運転し、あっという間に僕たちの車の後ろに来て、前方が確認できる場所まで2-3mの車間でピタッとくっ付くのです。これをもう2週間も続けていると、常に後ろから追われているような脅迫感が。さらに一種の車酔い状態もあって、若干車の運転に嫌気も出てきています。

 当初目標としていた「72峠の通過」を、シャモニーやレマン湖に近いほうの北の峠は またの機会にまわそうと決めます。それよりハイキングなどでゆっくり頭の疲れを取り、ハンニバルの足跡を見つけてみようと。
・・・結局この宿に3泊。ほぼ4日間滞在と今までの旅で、もっとも長いベースキャンプの地になりました。


【403.jpg:泊まった宿。Au Queyr' de l'Ours:大きな熊が目印】
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 夕食の前、たそがれの紫色にけぶる山を見ながら、近くの牧場の廃墟をぶらぶらしていると、遠くから何かざわめいた鳴き声が近づいてきます。しばらくすると、羊の群れだということがわかります。山から帰ってきたのです。道を一杯になって歩く羊の群れを身近にするのは2回目です。

 数日前、アロス峠からケヨル峠の間で、羊の群れを追い越したときは狭い渓谷の道、ちょっと怖かったですね。あの一頭の若い羊の横っ飛びのショルダーキックで、車の右ライト付近に凹みができました。羊って皆あんなに気が荒いのでしょうか・・・?

 見ていると、近づいてくるここの羊たちは太って、動きもゆったりし満足げ、あんな気の荒い動きをするように見えません。で、道路わきの1mほど土を盛った所に登って撮影することにしました。

 羊の群れが近づいてきます。
 先頭を歩いている真っ白な大きな犬、堂々としています。のっしのっしと列の前を歩き、「今から行列がお通りだ。おまえ達、わきに寄るように」と言っているようです。そして牧童達よりずっとえらそうに見えます。
 たった2人の牧童と数頭の犬に率いられた数百頭の羊たちは、このビデオカメラをものめずらしそうに時々見上げながら、村への橋を渡り、対岸の大きな建物に入っていきます。乳搾りの場所なのでしょう。

  →【■羊/ひつじ/Sheep、山羊/やぎ/Goat、その仲間(アイベックス/Ibex、シャモア/Rupicapra、シロイワヤギ/Oreamnos)など


【4b2.jpg:真っ白な牧用犬が羊の群れを引き連れて・・・周りを威嚇しながら歩いていく。】


【4d0.jpg:道一杯になって移動する数百頭の羊】


【4e0.jpg:橋を渡って村に・・・乳搾りに。夜はまた橋を戻り、近くの牧場で。朝にはまた山の斜面の草を食べに出かけるのです。】

動画動画

 モン・ヴィーゾ(モンテ・ヴィーゾ)山M.Visoの北の寒村。夕刻、牧羊犬が数百頭の羊を、搾乳のために羊小屋に引き連れて行きます。その群れの正面にあった、1mほどの高みからの撮影。
 「すぐ横の沢の音」「羊たちのベルの音・泣き声」「ボンソワール」・・たそがれ時の風景です。
 ●動画:MPEG4(mpeg4-02618.asf、1.39MB、1分50秒)を作ってみました。

 <●動画index、解説、トラブル対処なども参考に>

 夕食後、橋のむこうの牧場のほうから、羊たちのメ〜・メェーという声が聞こえます。まだ若干明るいので、群れはどんな風なのか見ようと散歩に出ます。

 ところが、橋に近づくと100mほど先から犬が吼えます。また少し歩くと、さらに低い威嚇するような声が。・・・あの白い犬が遠吠えで・・・「来るな!」と言っているようです。 彼が数百頭の羊の番をしているのです。誉めてやりたくなります。一人で夜、寝ずの番をしているのです。・・・そうなのか、おまえはえらい・・と足を止めただけで・・・吼えるのを止めます。

 そして冗談で一歩足を前に出したら、また吼えます。ゆっくりお休み・・・と引き上げます。人の気持ちまでも読み取る、賢い牧羊犬でした。

牧羊犬のこと

 この犬は「マレンマ・シープドッグ」または「グレート・ピレニーズ」と思われます・・・がどちらなんでしょう??
調べてみると牧羊犬の「マレンマ・シープドッグ」が有力と思えるのですが、決定できません。どなたか判る方が居れば・・・

●牧羊犬:MAREMMA SHEEPDOG マレンマ・シープドッグ イタリアが原産国の超大型(オス・メスとも:60〜74cm約30-45kg)のハーディング・グループ(牧羊・牧畜犬)

 マスティフのような頑丈な体形。頭部は円錐型で、体の割に大きい。マズルはグレート・ピレニーズに比較して長いという印象がある。高い位置に着く耳は小さめ。首の周りのたてがみのような被毛は、雄の方が豊富。尾はふさふさと厚い毛で覆われている。

 ハーディング・グループ(牧羊・牧畜犬)とは、
牧畜夫にかわって広い牧場を走り回り、家畜の警護と集合を受け持つのがこの犬のグループ。時には人間がまったく見張らずに、犬に仕事を任せっきりにできる程、この犬の訓練性能は高い。市場へ牛や羊を送り届けるときも、群れをばらけさせずに安全に進むためにはこの犬の存在は欠かせなかった。広い牧場のどこに家畜がいるのかを把握するため、優れた嗅覚と記憶力を備えており、その能力が特に高いジャーマン・シェパードは警察犬としても大活躍している。スタミナたっぷりで、元気な明るい犬が多く、誰にでもよくなつき育てやすい犬が多い。しかし扱っていた家畜によっても若干性格が異なるようで、牧羊犬は独立心が旺盛で、牛追い犬は勇敢で気が強い面もあるといわれている。


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または、
●作業犬:GREATE PYRENEES グレート・ピレニーズ。フランスが原産国の超大型(オス:70〜82cm約50kg、メス:65〜73cm約40kg)のワーキング・グループ(作業犬) 。

 ピレネー山脈で3000年前から働く犬で、古代バビロニアの遺跡にもよく似た犬が描かれているという程古い犬種だそうで、山仕事を手伝い、オオカミや熊から羊を守り、冬にはソリを引き、山で暮らす人々には欠かせない犬。宮廷、城の番犬、優雅な姿を楽しむ愛玩犬としても好まれた。

 ワーキング・グループ(作業犬)とは、
 主に狩猟と牧畜以外の仕事に重きをおいて作出された犬のグループ。雪深い地方でそりを引く、市場まで荷車を引く、財産や領地を守る、溺れた人や遭難した人を救助する、戦場で伝令や夜警、負傷者の救助にあたるといった仕事を任されていた。また闘犬や牛、猛獣との対決など娯楽目的で作出された犬も含まれる。大体が力仕事なので、体は大きく力強い。そのためマスティフ系の犬が交配に関わっている場合が多い。闘犬、番犬、軍用犬に使われた犬は、昔は闘争心が旺盛で凶暴な性格であったが、そんな犬を伴侶犬にしたいと願った愛好家の努力によって、穏やかで優しい性格に180度転換された。しかし運動不足や狭い環境での飼育によって、ストレスが溜まると、昔の気質が目を覚まして大事件を起こすようなこともある。この犬と暮らすには、充分な運動と適切な訓練をする自信があることが絶対条件となる。


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 彼の権威ある、そして優雅な歩き方は、どんなところから来ているのでしょう?写真を連続させると・・・同じ方の足をほぼ同時に移動させています。こんなことも理由の一つでしょうか?


【498.jpg:牧羊犬】

関連URL:
 犬図鑑:マレンマ・シープドッグ、グレート・ピレニーズなど・・・ペットのネットワーク
 CIRCOLO DEL PASTORE MAREMMANO ABRUZZESE・・・イタリアのマレンマ・シープドッグ同好会
 Dog Clubs (Breed Specific): Great Pyrenees・・・世界のグレートピレネーズ同好会へのINDEX
 マレンマシープドック・・・同好会
 グレート・ピレニーズ親睦会・・・誕生日は春が多いんですね

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Elephants

●「ハンニバルと象」がこのリストーラの地(推定)を進軍した状況など

 −− ポリビオス(BC200-BC118)の記述による。「」は推定の地名 −−
 ●前のポイント「Abries」← 【●ハンニバルの有力推定ルート】  →●次のポイント「Ristolas-2」




【ハンニバルの行軍推定ルート(緑実線)】



より大きな地図で 2002Travel-Root-Point を表示
<ここまでの経緯>
 約4カ月半前スペインを出たカルタゴ軍は、「ローヌ川〜ドローム川〜デュランス川〜ギル」川をさかのぼる。案内人の計略で、「ケーラス」渓谷で崖の上から岩による大襲撃を受け、今までにない多大の死者・けが人を出す。

 紀元前218年10月18日朝、「シャトー・ケーラス」を出発、「ヴィル・ヴィエイユ/エギーユ」「アブリエス」を経由しこの地に。

 渓谷を出た後、標高も1500mを越え、気温が下がり、時には雪もようとなる。

<この地のハンニバル軍>
 「ケーラス」渓谷で2回目の待ち伏せを受け、大襲撃を受けたハンニバル軍は、前回のような反撃より、一刻も早く冬のアルプスの峠を越えようと前進した。

 ガイドが居ないハンニバル軍は、偵察隊をこの先の山・峠に向ける。その間に到着した各隊ごとに集結、休養、再編成を指示する。

 アルプスの登り道から8日目。イタリア国境の峠越えまで残り7日。軍の規模は、歩兵2万9千人、騎兵6千9百、象20頭。

●●
帰ってきた偵察隊はハンニバルに報告をする。
 この先に雲と雪にそびえ立つ、巨大な「モン・ヴィーゾ(モンテ・ヴィーゾ)(3841m)の」山があること。
 峠を越えれば、向こう側はイタリアと思われること。
 その峠の頂上付近は、すでに大量の根雪がかぶっていること。
 偵察隊の一部を、さらに峠を目指し先の調査に行かせたこと。・・・・

ハンニバルは雪の峠越えに対しての対策を考える。その結果
 この付近で全軍を1-2日留め、休養をとらせる。
 その間に、さらに先へ偵察隊を派遣する。
 象・荷車を含む軍のための、山道の工作隊を順次先に行かせること。・・・など


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・・・皆さんの想定、推測情報などありましたらお願いしますハンニバル応援

参考資料:
 この記載情報はポリビオス(BC200-118)の記述による。これをもとにルートを推定・解説している本は以下のものである。
 ・Gavin de Beerギャヴィン・デ・ビーア 『ALPS and ELEPHANTSハンニバルの象』時任生子訳:博品社(G-page)
 ・John Prevasジョン・プレヴァス『HANNIBAL CROSSES THE ALPS ハンニバル アルプス越えの謎を解く』村上温夫訳:白水社(J-page)
 ・Hans Baumannハンス・バウマン『ハンニバルの象つかい』大塚勇三訳:岩波書房:(H-page)
 ・The Green Guide:『French Alps』2001 Michelin:(M-page)
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<Ristlasの村付近で滞在します・・・・>
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