●「ヨーロッパ・アルプスの峠」で、海抜の値に大きな差のある峠は 過去に各種の地図や、現地のカンバンなどで記述されている標高の値で、その数値に大きな差のある峠を列記してみます。 <条件>ヨーロッパアルプスの峠、1500m以上、10mを越える差のある峠: (国It=イタリア,At=オーストリア:左=max/右=minの標高m・・海抜の差m) ・It/At現国境:Timmelajochテンメースヨッホ峠(2509/2474m)・・差35m ・It(旧At領):Passo di Gaviaガビア峠(2652/2618m)・・差34m ・It(旧At領):Sellaセッラ峠(2244/2213m)・・差31m ・It(旧At領):Furciaフルチア峠(1789/1759m)・・差30m ・It(旧At領):Erbe -Passo delle/Wurzjoch エルベ/ヴュルツ峠(2006/1987m)・・差19m ・It(旧At領):Rolleロッレ峠(1989/1970m)・・差19m) ・At:Hahntenn Joch峠(1903/1884m)・・差19m ・It(旧At領):Passo di Costalunga/Karerpass コスタルンガ峠(1756/1745m)・・差11m これを見ると誤差の大きな峠は、いずれもチロル地方(イタリアは南チロルのエリア)の峠です。フランスやスイスの峠は、誤差も少ないようです。 −−−−−−−− ●山の標高はどのように測定されるのでしょうか 日本の場合、日本水準原点(東京湾の潮位の平均値を0mとし、東京都千代田区永田町1-1に24.4140mが決定)を基に全国配置の水準点・三角点の高さが決められている。 ・測定は、複数の三角点から見たときの水平面からの角度と距離で標高を求める。 ・水準測量法:2点間の高さの差を求めるために使われる測定方法で、微少な地殻変動の調査などに使われる精度の高い測定方法。(大きな山には、山の重みで重力が働き、水平面が曲がる・・など) ・人工衛星を活用し、緯度・経度、高さを測定できる全地球測位システム(GPS)を使い測定する。 参考URL:http://www5e.biglobe.ne.jp/~yamamosa/tizu.html 当然、イタリアやオーストリアでも、同じような測定方法を採用しているでしょう・・ −−− ●測定の誤差と年代 例えば富士山の標高は、測定年ごとに数値が変わっていますが、それを記述すると ・1997(平成9)年:水準測量結果に対する重力の補正:標高3776.224m <静岡大里村教授と測量会社日豊のグループが、水準測量路線に沿った重力補正で測量> ・1993(平成5)年:水準測量(大成建設)。標高3774.97m ・1962年=3775.63m ・1926年=3776.29m ・1887年=3772.65m ・1887年=3778m ・・110年前、誤差1.8m ・1885(明治18)年=白山岳での測定値。標高3753.4m・・112年前、誤差13m 参考URL:http://www2.wbs.ne.jp/~t-long/fuzisan/fuzizatu/fuzisannohyoukou.htm ・・110年以上前で、誤差が13m発生しています。 ●誤差がいつまでも続いた(続いている)原因は・・・こんなところに(推測含む) →チロル地方の110年ほど前(1885年頃)は、すべての峠がオーストリア帝国(ハプスブルク帝国)にあった時代です。そして第一次世界大戦で、これら峠を中心に大激戦が行われ、南チロルがイタリアに割譲された歴史があります。
→以降も、第二次世界大戦が済んだ後も、南チロル問題など大きな社会問題を抱えた場所がこの付近の状況です。 →イタリアのハイキングなどの詳細地図には、残念ながら国で出す公式のものは無いようです。スイスやフランスのように、早くから国が公式の詳細地図の整備を進めていた国との差が、峠の高度差などに出ているのでしょう。 →民間の地図会社が精度の高い数値を出しても、地元の観光協会や、山小屋のおやじ達にとっては、少しでも標高の高い値のほうがありがたいのに決まっています。国が測量し公式に地図として出すまでは、この混乱は続くのでしょう。 −−− え!?もしかして・・・ ここが第一次大戦の激戦地?・・・で陣地が、山が地雷で吹き飛ばされた?? まさか? ・・・何か情報があれば、教えてください。 |
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