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フルチア/フルケル峠

Furcia -Passo /Furkelpass フルチア/フルケル峠(1789m)
 潅漑池を建造中の峠には、はじめて来ました。【●峠のDBへ

 ここも30mもの海抜差が発覚。本当に何が正しいのか。 国?/サイクリング協会?/地元有力者?
ドロミテ:Odleオードレ・エリアBraiesブライエス・エリア】 [北村 峠一] .(Kitamura)      


 Erbeエルベ峠を出たのが午後4時頃、普通ならもう宿を確保し、シャワーを浴びている時間なのですが・・・ 今日の計画は、できるならこの先のFurciaフルチア峠に立ち寄った後、La Villaラ・ヴィラで宿を見つけようと思っていたのです。

 なんでそんなに先を急ぐのかというと、明日の行程がちょっとヘビーだからなんです。ドロミテの主要峠をぐるっと一回りして・・・また戻ってくる6峠・約100kmのルートなんです。そして、なるべくラ・ヴィラに連泊したいという計算。
「なーんだそれっぽっち」と思われるかも知れませんが、今回の旅は極力連泊し、かつ「ゆっくり、のんびり、楽しみながら」を前提にしているので、峠道のみ6個も突っ走るのはしんどそうです。
「じゃー、何日間かに分けたら?」そのとおりなんです・・・が、あさってBellunoベルーノに行くことを考え、なんと言っても「体力はあるから」が本音なのですが。

 今からフルチア峠を往復し、ラ・ヴィラまで行くと60km以上。そこで宿を見つけていたら、部屋に入るのは6時過ぎ?・・・ここまで考えていたらきっとフルチア峠は次回に回すなどの判断をしたでしょう。でもきっと日本から時差ボケがあって、判断が出来なかったのでしょう。

 走り始めてすぐに、疲れているのを感じます。S.Martino in Badiaサン・マルティーノの町を通過しながら「いい宿はないかな?」などと周りの建物を見て・・・でも本気で探していないのです。「できればもう少し走って」

pass-erbe
【244.jpg:St.Martinにむかって下っていく。道傍に教会、城があり、平日にもかかわらずバイクの若者が次々と峠に向かう】

to-st-vigilio
【76.jpg:Longega付近、Brunicoは左へ、Pass-Furciaは真っ直ぐ】
 サン・マルティーノの村の先で急に渓谷に下って交差点に来ます。何も考えていません、Val-Badiaバディア渓谷を下っていきます・・・
「狭い渓谷、眺めは無いし、ダンプなどが一杯追いかけて来るし、いやだなー。明日もこんな道戻るのか」 走るのが苦痛になってきているときの頭の中です。

 Longega付近でフルチア峠への看板が出ます。交差点に一軒のALBERGOアルベルゴ(旅館)を見つけ「ちょっと、泊まれるか聞いて来るよ」 車からその古めかしい宿に歩きながらも「この付近、眺めが悪いし、一晩中交通量多くてうるさそうだなー」判断が鈍っているようです。

 ちょうどそこに、小型のトラックからおじさんたちが降りてきました。
「この付近にいいホテルはないですか」 「この道をあと数km行ったS.Vigilioサン・ヴィジリオというところに、たくさんあるよ」「いいところだよ」
 今日走ってきたところが、ずーっと田舎の道だったので「たくさんホテルがある」などという言葉は信じられません。でもこの交差点でうるさい一夜を取るより良さそうと思い、少し疲れた頭にハッパをかけて走り出します。

−−−
 もう少し事前調査をしてくるべきだったかも知れません、サン・ヴィジリオはかなりの観光地でした。町に入ったとたん、ホテルだらけ。そして、フルチア峠に曲がる角のホテルの庭で、バイクのグループが何組もお茶を飲んでいるのを見て、「ここにしよう」・・結局ラ・ヴィッラまで行くのはあきらめたのです。

 日本を出るときに立てた計画では、今日ラ・ヴィッラまで行って170kmのつもりでした。が、結果はこの町までで211km。距離の読み違いと寄り道が反省点・・・が翌日も似たようなことで、もっと反省する羽目に。
Furcia峠とS.Vigilio
【Furcia峠1789m(右上)へ行く交差点(S.Vigilio 1193m)に宿を取る。道は結構ジグザグ】

−−−
 でも宿が決まると少し気持に余裕が出て、夕食時間までの間にフルチア峠まで往復することにします。

 ちょっと無謀な若者の対向車に、ひやっとしたジグザグの登り道も、7-8kmで峠に到着します。こんな田舎の峠とたかをくくっていたら、意に反して立派な標示板があります。
「Furkelpass(独)/Passo Furcia(伊) フルケル/フルチア峠(1789m)」【●峠のDBへ

pass-furcia
【96.jpg:フルチア峠1789mから西を見る】

pass-furcia
【93.jpg:この峠の東側でUターン】

 ここは南北が高い木立ちに囲まれ、あまり展望の良くない峠です。
道路わきの工事が気になり見下ろすと、まさに貯水池を作っているところです。 アルプスの多くの峠の上にはちょっとした貯水池を見ますが、新たに作っているところを見るのは初めてです。長さ7-80m、巾2-30m、深さ10mくらい、底に向かって狭くなっているので、多分1万立方mぐらいでしょうか。たくさんの水資源に恵まれたアルプス地域でも、潅漑池の必要があるとは思いませんでしたが、分水嶺に池を作ると、左右の谷への流水量の調整などはどうするのでしょうか?

pass-furcia
【b2.jpg:峠の頂上に、貯水池をまさに作っているところ。こんなシーンは初めて見たが、それほど貯水量は多くなさそう。】

pass-furcia
【83.jpg:峠付近を往復しているうちに、道に書かれている文字に気づく・・・何かの自転車レースがあったのでは】

 道路に白い字が書かれていることに気づきます。多分自転車レースがあったのでしょう。
帰国後、調べると・・・やはり、Giro-d'italiaジロ・デ・イタリアが、2週間ほど前(2004.5.25)にこのFurcia峠を通過していました。

 さらに驚いたことは、このジロ・デ・イタリアが発表している「Passo Furcia」の標高は「1759m」となっています。(選手の体力調整などを考えても、この標高の数値にはかなり信頼できそうです) 一方、峠の標識にはしっかり「1789m」・・・なんと30mもカンバンの方が高いのです。
 ・・・さっき走ったErbeエルベ峠は標識が19mも低いことを考えると、この峠の場合は、「地元有力者の圧力」で「道路管理官庁が屈した」のでは?

●2004年「Giro d'Italiaジロ・デ・イタリア」16ステージ(山岳ステージ)の情報:

 この第16区間は、San.VendemianoからFalzesまでの215 kmで行われた。ドロミティ街道を横切る山岳コースで、 このステージの優勝者は、Damiano Cunego(TEAM ALESSIO-BIANCHI)。フルチア峠での攻防が鍵になったようです。

2004の後半のコース フルチア峠の登りの勾配
【ジロ・デ・イタリア2004の後半のコース:赤が第16区間】  【フルチア峠の登りの勾配】

1-20全ステージの海抜グラフ

○16区間の標高
16区間の標高
【16区間の標高】

<関連URL>
 ○http://www.gazzetta.it/speciali/giro2004_presentazione/tappe.htm【ジロ・デ・イタリア2004のルートなど】
 ○http://www.bianchi.com/php/read_giro_news.php?id=19&lang=uk【16ステージは、チーム・ビアンキの選手が勝ったので】
 i:「18ステージ:ガヴィア峠と故パンターニのこと」



<サン・ヴィジリオに戻ります。今日は若干疲れましたね・・・)>
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