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【1b0.jpg:l'Echalpル・シャルプの村】 |
私は大嫌いなアブリエスを避けて、そこを通り越し、モンテヴィーゾに向かって数マイルもいった所にあるル・シャルプの村で、干し草のなかにでも寝るつもりで歩きつづけていった。 村が近づいてくると、例の神聖な匂いが鼻を突いて来た。道かどを曲がると、その原因が一目ではっきりした。村の司祭が信者たちに取り巻かれて道路で立ち話をしているのであった。わたしは帽子を手に持って、うやうやしく進んでいった。私が口を開くより先に、「おまえはだれだ」「おまえはなんだ」「おまえは何をしに来たんだ」と、司祭が矢つぎ早に問いかけてきた。私は一生懸命に説明しようとした。 だが司祭は、「おまえは脱走兵だな。おまえが脱走兵だということは、ちゃんと分かっている。この村へ置いとくわけにはいかない。とっとと出ていってくれ。ル・モンタへいくんだ。ここにいちゃいかん」と言いながら、私を押し飛ばすようにして追い払ってしまった。 この司祭の奇妙なふるまいには、こんなわけがあったのだ。ピエモンテの兵隊たちが軍隊生活に飽きてしまうと、ラ・トラベルセットの峠を越えて、よくこの谷へ逃げこんで来るのであった。そして彼らをかくまったために問題が起こったからである。私はそんなことを少しも知らなかったので、これからモンテヴィーゾへ登ろうとする人間を脱走兵扱いにするとはなにごとだと腹が立ってしまった。 ・・・・・・・・・・ (『アルプス登攀記』ウィンパー著、浦松佐美太郎訳、岩波文庫 上巻p80-) |
●「ハンニバルと象」がこの地(推定)を進軍した状況など−− ポリビオス(BC200-BC118)の記述による。「」は推定の地名 −−●前のポイント「Ristolas-3」← 【●ハンニバルの有力推定ルート】 →●次のポイント「Petit-Belvedere-1
約4.5カ月前スペインを出たカルタゴの軍は、「ケーラス」渓谷で崖の上から岩による大襲撃をされ、多大の死者を出しこの地に到達(10月18日夜)。この先の偵察と軍の再集結、再編成、休養のためこの地に留まる。 <この地のハンニバル軍> (前の状況と変わらず) 紀元前218年10月19日。 気温が下がり、時には雪もよ。この日もこの地に留まる。 道路の工作隊は、象・荷車を含む軍の峠道を切り開くため、先の山道に向かい作業をする。 アルプスの登り道から9日目。イタリア国境の峠越えまで残り6日。 軍の規模は、歩兵2.9万人、騎兵6.9千騎、象20頭。 ●前のポイント「Ristolas-3」← 【●ハンニバルの有力推定ルート】 →●次のポイント「Petit-Belvedere-1 ・・・皆さんの想定、推測情報などありましたらお願いします 参考資料: この記載情報はポリビオス(BC200-118)の記述による。これをもとにルートを推定・解説している本は以下のものである。 ・Gavin de Beerギャヴィン・デ・ビーア 『ALPS and ELEPHANTSハンニバルの象』時任生子訳:博品社(G-page) ・John Prevasジョン・プレヴァス『HANNIBAL CROSSES THE ALPS ハンニバル アルプス越えの謎を解く』村上温夫訳:白水社(J-page) ・Hans Baumannハンス・バウマン『ハンニバルの象つかい』大塚勇三訳:岩波書房:(H-page) ・The Green Guide:『French Alps』2001 Michelin:(M-page) |
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【ヨーロッパ・アルプスのハイキング地図】 【国別地図】 【日本語ガイド本】 |
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