◆比較:
◎セイヨウボダイジュ/西洋菩提樹
<原産地:ヨーロッパのアオイ科シナノキ属(Tilia × europaea = T. cordata × T. platyphyllos)の自然交配種>
○コバノシナノキ/小葉の科の木/フユボバイジュ
<中国原産のアオイ科シナノキ属(Tilia cordata)>
寒冷地向き
○ナツボダイジュ/夏菩提樹/オオバボダイジュ(大葉菩提樹)
<中国原産のアオイ科シナノキ属 (Tilia platyphyllos)>
暖地向き
星状毛があり・葉脈の脇に褐色の毛玉のようなものがある
△ボダイジュ/菩提樹
<中国原産のアオイ科シナノキ属(Tilia miqueliana)>
中国では熱帯産のインドボタイジュの生育には適さないため、葉の形が似ているアオイ科の本種を菩提樹としたと言われる。
星状毛があり・葉脈の脇に白い毛玉のようなものがある
◆シナノキ/科の木
<日本特産種のアオイ科シナノキ属Tilia japonica>
シナノキは日本特産種だが、シナノキ属(ボダイジュの仲間)はヨーロッパからアジア、アメリカ大陸にかけての冷温帯に広く分布している。
星状毛がなく・葉脈の脇に褐色の毛玉のようなものがある
▲インドボダイジュ/印度菩提樹
<インド原産のクワ科イチジク属(Ficus religiosa)>
本種が仏教聖樹の「菩提樹」
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◆リンデンバウムの栽培ポイント◆
栽培(難易度:★★★☆☆)
日本では夏越しがむずかしいことから、北国を除いてほとんど栽培されず、中国から日本に分布するシナノキ(ティリア・ヤポニカ)
や、本州中部以北に分布するオオバボダイジュ(ティリア・マクシモウィッチアナ)といった同属の植物が、ときどき栽培される程度です。
環境に対する適応性が強く、ヨーロッパでは街路樹や公園樹、庭木として人気がありますが、高温多湿の日本では、北海道などの
寒冷地以外での栽培はむずかしいでしょう。
耐暑性はやや乏しいものの、耐寒性にすぐれ、樹高が高くなるだけでなく、葉張りのある大きな樹冠になるため、地植えで育てます。
苗の植えつけ適期は2〜3月。
樹高が高くなることを考慮し、なるべく日当たりと風通しのよい場所に、植え穴を大きくとって植えつけましょう。
いったん根づいてしまえば、その後の栽培は容易です。
生育温度:適温は15〜25℃。やや冷涼な気候を好み、高温多湿を嫌います。寒さには強いので、冬越しは問題ありません。
手入れ:とくに必要ありません。
日照:日向を好みますが、耐陰性も比較的あるため、半日陰でも生育可能です。
水やり:苗木を植えつけてから数年間は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。成木に生長してからは、とくに水やりの
必要はありません。ただし、夏の乾燥期に極端に水切れすると、落葉が早まるので注意しましょう。
土:水はけがよく、中性〜アルカリ性の土壌を好みます。庭土に腐葉土を3割ほどすき込み、1uにつき苦土石灰150gを施して酸度を調整しましょう。
肥料:元肥として、1uにつき堆肥10Lと鶏ふんなどの有機質肥料を2〜3握りほど庭土に混ぜて、植え穴に埋め戻します。追肥は必要ありません。
植えかえ:植えかえは、とくに必要ありません。
収穫時期:6〜7月の花期に、開花直後の若い花房と苞葉を摘み取って収穫します。
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◆リンデンの殖やし方◆
実生で殖やします。
10月ごろに熟した果実から種子を採種し、すぐに取りまきするか、種子を湿らせた清潔な砂などと混ぜ、密閉して低温で保存し、
翌春に温室内にまき床をつくってまきましょう。
種子は休眠性が強いため、発芽までは2〜3年かかります。
高さ30cmほどの苗木に生長したら、戸外に数株をまとめて密植し、そのまま4〜5年育ててから定植しましょう。適期は2〜3月です。
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