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Bergalga
【g156:ベルガルガ谷最奥のミルク小屋の家族】

Bergalgaベルガルガ谷

マーモットの天国・・
29年前佐貫もこの娘に会った・・【●谷DB

スイス:グラウビュンデン州(GR)】[北村 峠一].(Kitamura)      


●夏至6月21日だというのに、雪もちらついて・・


 ここJufユーフは、夏至の6月21日だというのに・・今日は風がないから、暖かいだろうと思ったのですが・・窓の外は霧が走り、小雪が舞って寒そうです。

 朝食の8時、宿のおじさんに今日の天気を聞きますが、窓から外を見て、両手をあげて大げさなゼスチャー「曇ったり、霧だったり、小雨だったり・・」はっきり言って山の天気なんか判らないものなんです。

 さて今日はどうしよう。部屋にいても仕方ないのでユーフの2kmほど手前、Avers-Juppaユッパ(2004m)から南に、Bergalgaベルガルガ渓谷に入ってみることにします。

 9時半すぎに出発しますが、白い粉のような雪が舞っていて寒い。昨日に引き続きエンジンをかけるときに、車の温度警告アラームが4℃と表示されます。日本で温度警告のアラームが鳴った覚えがないので「さて、何の対処をすれば良いのか?」と悩みます。ディーゼルだから鳴るのでしょうか。理由や、対処法峰など御存知の方がいたら教えてください。

 宿の前で、ドイツナンバーの車から降りて、山歩きに出かける年配のご夫婦とすれ違いましたが、おじさんは嬉しそうでしたが、奥さんは気がのらなそう。「こんな天気で、男ってどうしてハイキングなんかしたいんだろう?」という素振りを僕たちにしてきます。でも日本人の男の私も、このおじさんの「少しぐらい悪い天気でも、アウトドアで遊びたい」気持ちはよく判ります。

Vall-Lei-map
【右のJufユーフから戻り、Bergalga谷に】
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●ユッパからBergalgaベルガルガ渓谷に・・


 Juppaユッパの駐車場には、乗用車が3-4台とキャンピング車が4台ほども停まっています。日曜なのでハイキングをする人も多いのです。寒く曇ったBergalga渓谷を、フリースと雨具の完全装備で歩き出します。

Avers-Juppa
【v928:Avers-Juppa:Bergalga渓谷入口。右の山はTscheischhorn(3019m)、真ん中の山はJuferhorn(2967m)の前山、Wengahorn(2849m)だろう】

 次の2枚の写真は谷から戻ってきたときのものですが、 最初はドイツ人夫婦。ベルガルガ川の脇の、高い石積みのケルンをバックに写真を撮っている夫婦から「シャッター押して」と声を掛けられたときのもの。このペアルックの奥さんは、朝会った奥さんと違って寒さに強いようですね。今気づきましたが、顔が似ていますね。

Bergalga
【g166g:ドイツの夫婦とベルガルガ川・ケルン】
Bergalga
【g171g:ベルガルガ川で遊ぶ家族連れ】


 右は子供づれで川遊びの若夫婦? どちらかと言うと大人が遊んでいる感じですね。

 この先の道、花も寒くて花びらを閉じています。夏至でこんな気温ですから、花の咲く時間も短いのでしょうか。西側のマドリス谷が花一杯だったのに、山をひとつ越えただけの渓谷で、こんなにも違うのです。

Bergalga
【g164g:寒いので花も元気少ない】 【●アルプスの花たち


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●マーモットMarmotteの谷・・


 前方に子供をつれた夫婦が歩いています。奥さんはゆっくりと(いやいや歩き)、ご主人と子供は雪渓のほうに行っては遊び、時折鳴くマーモットを探しては、奥さんに声をかけるのですが・・奥さんは寒いからか、聞こえないふり?

Bergalga Bergalga
【g146:Bergalgaベルガルガ渓谷入口:マーモットを指差す父子と、興味のない奥さん】 【g147:右のベルガルガ川に沿って。正面はWissberg(2980m)、右の山の向こうはマドリス谷】

 マーモットの案内標識が、道路に沿っていくつもあります。その写真をいくつか撮ってきました。彼らは毎年2匹の子を産み、寿命は4-5年とか、10-4月に冬眠して、体温は3℃くらいで、月に2回ほどは目覚めて35℃になる・・みたいなことが書いてありました。

Bergalga Bergalga Bergalga
【g170g:マーモット:集団生活、毎年2匹の子を産み、寿命は4-5年】 【h093g:マーモット:10-4月の冬眠中、体温は3℃くらいで、月に2回ほど35℃になる】 【h096g:マーモット:異教徒/伝説/おとぎ話】

 そして、マーモットの曲があるんですね、それもベートーベンが作ったもの。帰国後youtubeユーチューブで探すと、
's Lumbegsindel - La Marmotte」【おすすめ★中世の服装でのストリートミュージック:Waldkirchヴァルトキルヒの歴史的マーケット広場で】
Beethoven Lieder op.52 No.7 Marmotte Max von Egmond, Bariton 」や
La marmotte, Beethoven Arr.M.Rodriguez Caster
などが見つかりました。マーモットと一緒に、あちこちを旅する芸人の少年の歌。「マーモット君、ごくろうさん」という気持ちが表れて(?)います。【●マーモット解説】

Bergalga Bergalga
【h094g:人とマーモット:ベートーヴェンの歌曲】 【h095g:ゲーテの詩に基づくベートーヴェンの歌曲:マーモット(旅芸人)。クリックで楽譜拡大】
ゲーテの詩に基づくベートーヴェンの歌曲:マーモット(旅芸人):解説www.youtube.com/:動画

 帰り道、行きに見た3人連れに追い付きました。きっと彼らは途中で引き返したのです。奥さんは寒いのに苦手で・・ずっと前を車のほうに早足です。息子と父親は相変わらず、マーモットの巣を見つけに崖を登ったり、ゆっくり・・ゆっくり。

マーモット
マーモットの写真
 ペースをあわせ話しかけました。イタリア語でしたが、地名が中心の会話なので、ほとんど理解できました。
「家は、この南のイタリア・ソンドリオ州、ボルミオの近く・・」
「僕たちも去年2008年、ボルミオに泊まりましたよ・・」
「ステルビオ峠の下の・・リビーニョから・・」
リビーニョには2004年に・・」  子供は6歳で、9月に小学校に入学するのだといいます。歩きながら、兜の折り紙を作って坊やにあげました。イタリアナンバーのキャンピングカーには、奥さんが彼らの戻るのを待っていました。

 途中で記念写真を撮ったのですが、ネットからマーモットの写真を見つけ、合成してみました。実際にはマーモットの身長は40-60cmなのですが、拡大して見るとおとうさんの体型もかなりでっぷりしていて、いい組み合わせですね。

Bergalga Bergalga
【g172g:イタリア・リビーニョから来た父子。マーモットは合成写真。実際の身長は40-60cm】 【v246g:マーモット】

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●Alp Hinterbergalga高地ベルガルガのアルプ・・ミルク小屋の娘たち・・


 ベルガルガ川に沿ってゆっくりと1時間半、地図で0lta Stofe(2074m)と書かれた場所、牛は周囲にはいませんが、牧場と農家が1軒見えはじめます。ミルク缶を運ぶ女の人が見え、その小屋から長靴を履いた、小さな可愛い娘が、僕たちを歓迎して手を振って出迎えてくれます。
「お家においでよ!」そんな可愛い声に連れられて、農家の前のベンチに座ったのです。なにか頼めそうですね。

Bergalga Bergalga
【g154b:正面はWissberg(2980m)】 【v246g:谷奥の牧場:】

Bergalga
【v246g:小さな子が歓迎に走り出てきた】

Bergalga
【v246g:家に遊びに来てと・・】

Bergalga
【v259:ミルクは殺菌してないので・・】

Bergalga
【g155:牛小屋の姉妹。やはり下の子のほうが人懐っこい】
<コーヒー・紅茶>
 女主人らしい人が出てきました。
「ミルクは飲めますか?」「これは絞ったばかりのフレッシュなもので、おなかを壊すかもしれないので・・」
「他に何か飲むものは?・・コーヒーは?」「コーヒーとティーなら」
 エスプレッソwithミルクを妻が注文し、私はティーを。どんな種類がある?と聞くと・・小屋の中に付いてこいとのこと。
 薄暗い小屋の奥の、柱につるしてあった、野で摘んだような葉っぱを見せてくれます。「OKそれで」

<折り紙>
 1−2歳大きな娘も出てきました。やはりお姉ちゃんのほうがお洒落だし美人。でもどこでもそうですが、下の子のほうがくったくがなく、人懐っこい。コーヒーとティーが来るまでの間、女の子たちに折り紙の兜を折ってあげます。次にそれを魚の形にし、目・眉毛・口を描いてプレゼント。お姉ちゃんが「私にも作って」・・絵はおねえちゃんのほうが自分で描きます。

 妻が鶴を折り、ちょうど来た奥さんは、
「私はそれは知っている・・病院・・長崎・・広島・・」
 アグレナちゃんとヤグォミンちゃんと、絵を描いたりして、野草の香りのする暖かい紅茶を楽しみます。

<必勝フラグ>
 ザックの中に入れてあったみやげの「小旗」、必勝と書かれたダルマに日の丸の扇子が描かれた絵です。それを小屋の窓に飾ってプレゼントします。漢字の「必勝」の意味を聞かれたので「Victory」だというと、下の子ヤグォミンちゃんの名前の意味は、「春の勝利」だと言って奥さんも大喜びでした。

 しばらく遊んでいましたが、僕たちは雨具を着、暖かいものを飲んだからいいのですが、下の子が鼻水を出しています。フリースを着たくらいでは寒いのでしょう、おいとましましょう。教育の一環でしょう、支払いはお姉ちゃんがお釣りを持ってきました。8スイスフランでした。

Bergalga
【g159:プレゼントのダルマの旗。Casacciaカサッチア6時間、SoglioSoglioソーリオ6時間】
Bergalga
【g157:折り紙で一緒に遊ぶ】

Bergalga
【g158:ご主人が出てきた】

Bergalga
【v246g:小屋を去る・・戻る 】
<ご主人が>
 子供たちに「さよなら」をしてザックを担いでいると、家の中でおじさんの声「面白い日本人が来ているよ」みたいな言葉が聞こえます。主人が出てきました。
「フラグありがとう、娘の名前と同じ意味だって・・スイスは初めてか?」
 名刺を渡し裏の地図で、走った峠マークを説明します・・
「えー!!すべて走ったところなのか? スイス人だってこんなに行ったことがない」・・クレイジーな趣味なんですよ・・

 雑談し、写真を撮り、Alp Hinterbergalgaのシューラーさんとお別れです。


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●佐貫亦男もこの農家で、牛乳を飲んだ・・


 部屋に戻った後、あらためて『佐貫亦男のチロル日記』を読み直してみると、<スイスらしくない土地があった>として、このベルガルガ谷が書かれていました(p.78-)。1980(s55).7.23-24にユーフに泊まりその間にブレガルガ谷を往復したとのことです。

 記述には、『谷奥のただ一軒の農家へ寄って、冷たい牛乳を一杯もらい、サンドイッチとで昼食にした。・・農家の主人と話をしてみると、南チロルから夏だけここへ放牧にくるらしい。主人と入れかわりに小さい娘二人が出てきたので、五円玉を一個ずつをやったら・・
・・また出てきた娘たちへ日本の切手を入れた小袋を与えた。二人は歓声を上げて、昼食のスパゲティを作っている様子の母親に見せにいった。・・』とあります。

 佐貫亦男が29年前に出合った「小さい娘二人」のうちの一人は、あの奥さんかも知れませんね。結婚し同じように二人の娘ができて、僕たちと会ったのだとしたら・・人の巡り会いって面白いですね。

Bergalga Bergalga
【佐貫亦男の本にある「谷最奥の農家」】 【v246g:谷奥の牧場:】

<関連するサイト>

http://www.alpen-panoramen.de/【Alpen-Panorama:Bergalga峠の展望】
http://www.bergalga.ch/【Hotel Bergalga】
http://www.andyheinz.ch/【Alpfest Bergalga 2008】
http://www.suedostschweiz.ch/【Bergalga, Avers:Pdf】
Booking.com

<関連書籍・地図>

ヨーロッパアルプスのハイキング地図、ガイド洋書  山渓など:日本語編

<ヨーロッパ・旅・・・>



●スイスのワイン検索

<San Bernardinoサン・ベルナルディーノ・トンネル〜Calancaカランカ渓谷・・>

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