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Rochers de Naye
【1201.jpg:ロッシェ・ド・ネーから見る南東の山並】

ロッシェ・ド・ネーRochers de Naye(2041m)

ライン川/ローヌ川の大分水嶺がはっきり見える展望台。【●登山峠DBへ
古代ローマ時代から、ここシオン城付近は、重要な通行税関だったのです。

スイス:ヴォー州、フリブール州】  [北村 峠一].(Kitamura)      


 Jamanジャマン駅のレストランで、列車の切符を購入しようとしたのですが、売っていないとのこと。(14:20頃)定刻より30分ほども遅れて到着したMGMの車内、ワンマンカーなので運転手から購入する仕組みです。
Rochers de Naye 【1164.jpg:山頂駅のレストラン展望室からは、今来たStn.Jamanジャマン駅からLa Perche駅経由の線路と雪避けがはっきり見渡せる。Dent de Jamanダン・ド・ジャマン山(1875m)の独特な形も】

 でもこの稜線を走る登山列車の運転手、全然前を見ず切符販売の装置を扱っていますが、安全なのでしょうか?いくら単線、ラックレールでノロノロ・スピードとはいえちょっと心配。きっとたくさんの乗客がヒヤヒヤしながら、前方を見守ってくれるのを期待しているのでしょう。

 電車賃もかなり高いですね。ジャマン→ロシェ・ド・ネー=9Sfr(約800円)、ロシェ・ド・ネー→Montreuxモントルー=36Sfr(約3200円)もするのです。
「半額カード持っていない?」と、持っているのが当然のように聞いてくるのを見ると、観光客はスイスカードなど、何らかの割引カードを持って旅行しているのでしょう。でも僕たちレンタカー族のように、ほんの一部しか電車に乗らない人たちにとっては、どっちが得なのでしょう?【●どこかにそんな比較サイトがあったら教えてください】

 山頂駅に到着(14:50頃)。次の電車は何時出発か気がかりで、駅員に聞きます。約1時間かかるモントルーまで降り、17:45のMOBの電車に乗らないと、車を駐めてある近くのLes Cases駅には急行列車などが停まらず、次が2時間後。暗い山道を歩くのは避けたいし、その先の狭い、真っ暗な山道ドライブも気になります。
「今ダイアは乱れているが、定時の15:46発」。あまり信用はできませんが、早めに駅に戻ることにします。

 まず展望台はどこだろう・・と見ると、線路の突き当たりにトンネルがあって、レストランの先にビューポイントがあるとの案内。 急いで行ってみますが、見える範囲は西の半分だけ。でもジャマン駅や、ダン・ド・ジャマン山(1875m)の独特な形はこの場所からしか見られないようでした。


Rochers de Naye
Rochers de Naye
【1191.jpg:左(南)〜レマン湖方面〜右(北)の眺め。(ただし山頂駅レストラン展望室からは、左はレマン湖までしか見えない)】

Rochers de Naye 【1190.jpg:ローヌ川がレマン湖に流れ出すNoville付近、高速道路がはっきり見える。左上にDents du Midiダン・ド・ミディ山(3257m)の輪郭がはっきり見え、さらにその先遠くに見えているのはイタリア・フランス・スイス3国の国境付近の山=ローヌ川とポー川の大分水嶺=だろう】
 急いでトンネルを戻り・・駅から急坂で50mほど上にある頂上展望台まで駆け上がります。朝からのハイキングでかなり疲れていたのですが、電車の時間を思うと思わぬ力が出てくるものです。

シオン城とダン・デュ・ミディ  東の展望も開けました。ローヌ川がレマン湖に流れ出す平野と高速道路がはっきり見え、Chillonシヨン城とセットに見えるDents du Midiダン・ド・ミディ群の山(最高3257m)の輪郭がはっきり見えます。

 さらにその先、遠くにうっすらと見えているのはイタリア・フランス・スイス3国の国境付近の山でしょう。そこはローヌ川とポー川の大分水嶺、僕たちのこの先の旅ルートもその大分水嶺にあるグラン・サン・ベルナール峠を越えてイタリア・アオスタに向かうのです。

Rochers de Naye
Rochers de Naye
【1200.jpg:山頂の展望台から:左(北)〜東〜右(南)の眺め。ラインとローヌ川の大分水嶺がづっと続いて見える】

Rochers de Naye 【[http://www.swissgeo.ch/]サイトの地図。クリックで拡大
赤点線は大分水嶺。】
Rochers de Naye
【1173.jpg:あの岩の形は、レザンで見た山】

 ダン・デュ・ミディの左、あの二つ飛び出している岩の形は、レザンで見た岩山:Tour d'Aiツール・ダイ(2331m)、 Tour de Mayenツール・ド・マヤン(2327m)です。

 さらに左にピロン峠からロープウェイで上がるグラッシャー3000のLes Diableretsレ・ディアブルレの雪山群が見え、さらにライン川とローヌ川の大分水嶺はユングフラウなどを通り、ローヌ氷河まで続くのです。

 一方ローヌとポー川の大分水嶺はそこから折り返し、先ほどのグラン・サン・ベルナール峠、モンブラン付近から地中海に向かって南下。それがスイス、イタリア、フランスの国境になっています。見えもしない遠い山の稜線を追いかけながら、山の景色を見るのもまた楽しいものです。

−−−
 帰りの電車はほぼ定時の15:50発。約1時間の車中から見る眺めは、ダン・ド・ジャマン山の変わった形の岩やレマン湖。トンネルといくつものヘアピンカーブが続く線路のため、右・左・右と木々の間のわずかのシャッターチャンスなのです。使い慣れないデジカメを持った向かい席のおじさん、タイミングが合わず一枚もシャッターが押せず、同じグループの女性たちに笑われてばかりでしたね。

Rochers de Naye
【v142.jpg:帰りの電車は定時に来た】

Rochers de Naye
【1210.jpg:東からでは特徴の無かったDent de Jamanダン・ド・ジャマン山(1875m)が、独特な形に変わった】

Rochers de Naye
【1215.jpg:右に左に変わった山の形や湖が見え、デジカメを構えるがチャンスを失ってばかりの愉快なおじさん。】

Rochers de Naye Rochers de Naye
【1221.jpg:ラックレールの線路を1時間かけて下る電車】 【1228.jpg:モントルーの町に九十九折で遠回りしながら電車は降りてくる】

 Chateau de Chillonシヨン城(シオン城) がレマン湖に張り出し、例のギザギザの山、Dents du Midiダン・デュ・ミディ(3257m)が遠くに見えています。この山の急斜面が湖に張り出した場所は、関所として最高の立地にありますね。

Rochers de Naye
【1226.jpg:急斜面が湖に張り出したところにシヨン城が見える。遠方の山は、ダン・デュ・ミディDents du Midi山群(3,257m)】

<Chateau de Chillonシヨン城付近の地形と歴史>

古代ローマの道  レマン湖に張り出したシヨン城付近は、紀元前から通行の関門になっていた場所。

●カエサル(シーザー)以前と、「古代ローマの道」の歴史
・現在のスイスに住んでいたケルト人(ヘルウェティイー族など)は、グラン・サンベルナルド峠などのアルプスを越え、ローマ側と物資の交流などを行っていた。
・BC58-53年のカエサル(シーザー)のガリア戦記でもこの付近が登場する。
古代ローマ時代、道路整備が行われたが、このグラン・サンベルナルド峠からレマン湖岸を抜けVeveyヴヴェ〜バーゼル方面。またヴヴェ〜ジュネーヴを通過するルートが主要な道であった。(ヘルマン・シュライバー)
・このアルプス超え物資の通行税を取る場所としての要になったのが、ここヴヴェの東の極めて狭い湖岸の場所である。

●シヨン城の歴史
・9世紀頃にレマン湖に突き出た岩島の上に、街道の監視、通行税・物品税をかけるための関所が作られた。
・城を拡大したSionシオン大司教の所有だったが、1150年頃からサヴォワ(サボア/サヴォイア)伯爵家の所有になる。
・13世紀にかけて改修を繰り返し、現在の城の基盤が作られた。
・13〜14世紀にはサヴォワ公の夏の居城として繁栄。
・1532-36年には宗教改革推進派のボニバールが捕らえられ、地下牢に幽閉される。
・1536年、プロテスタント教徒の攻略で城はベルン人のものとなり、ボニバールも開放された。
・19世紀にデュマ、ユーゴー、ターナー、バイロン『シヨン城の囚人』など多くの詩人、画家、作家の作品に登場し、スイスの代表的風景として世界に名を知られていった。

 ○http://www.chillon.ch/【シヨン城サイト】
 ○http://www1.linkclub.or.jp/~swiss/photo/Montreux1.html【スイスのページ】
 ○http://www.myswiss.jp/castle/chillon.htm【マイスイス】

Rochers de Naye
【1225.jpg:レマン湖、シヨン城、ダン・デュ・ミディDents du Midi山群、スイス・フランス国境の2000mクラスの山。夕日が輝いている】

 モントルー着(16:55)。食材などを購入し、17:45のMOBの電車に乗る(9.2Sfr≒850円)。Les Casesカーズ駅着(18:14)。プラットホームの無い駅に、車掌さんや車内の人たちの、
「何でこんな駅に降りるんだ?」 というような見送りの視線を感じながら、駐車してある場所までの15分は、たそがれはじめた下山道でした。

col-jaman-rochers-naye
【ピンク色が、ハイキング+電車のルート。茶色はライン川、ローヌ川の大分水嶺】
Rochers de Naye
【1237.jpg:モントルーからMOBの電車中から見る西からのジャマン山の形】

<Rochers de Nayeロッシェ・ド・ネー/Montreuxモントルー付近のWebサイト>

 ○http://www.swisscastles.ch/aviation/Montagne/rochernaye.html【Rochers de Nayeロッシェ・ド・ネー山頂付近の航空写真】
 ○ http://www.montreux.ch/index_en.html【Montreuxモントルー観光ガイド】
 ○http://www.montreux-vevey.com/index.cfm【Montreux-veveyモントルー・ヴヴェイ観光ガイド】

<シヨン城を通過した交易のルート、グラン・サン・ベルナール峠にむけ、〜モス峠Col des Mosses(1445m)〜エーグルAigle〜を・・ >

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