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懐かしいカルティッシュ

Kartitschカルティッシュ(1)
 6年ぶりのガストフに泊まります。当時の奥さんはもう隠居?・・・いえいえ、孫にぞっこんになりましたが現役。

 そして、ボリュームのあるウィーンナー・シュニッツェルと、なつかしい金魚も相変わらず健在でした。
[北村 峠一].(eu-alps)      

カルティッシュmap
 ドッピアーコから始まるDrauドラウ川は まだ小さな川。国境からその川にそって東へ数km。途中のSillianシリアンには城址が見え、かつては関所だったのでしょう。今回と同じく、6年前もここは大雨でした。

 その先で支流に沿って右折、海抜1100m程から登りがいのある斜面、標高差約200m以上を登ります。この急な勾配が、この付近の独特の風景を作り出しているのです。傾斜のために牧草を刈り取る機械の導入が難しく、くいに牧草をからませて乾燥させる、この独特な干し草風景があちこちで見られるのです。でも前回に比べるとかなり減っていて、平坦な場所には機械(ロールベーラー)でくるくる巻き、さらにビニールで包んだ干し草のパッケージも見受けられます。ちょっぴりさびしいのですが、これも時代の流れで仕方がないことなのでしょう。

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【103.jpg:丘の上に農家があり、その下の斜面は牧草】

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【120.jpg:この地方でたくさん見られる、牧草干しのシーン】【003.jpg:機械で巻き上げた干し草と、それをビニールで包んだもの】

 懐かしい風景です、そして天候。初日小雨、次の日土砂降り。そして今回も雨の後の小雨、と3日連敗。アルプスの高い山脈に挟まれた谷は、このような天候になり易いのでしょうか。

 右にHollbluckホルブルック村の標識。そしてKartitschカルティッシュ村の教会と家が遠くに見え出し、町の標識が。あそこの家の壁に、何かの絵が描かれています。槍を持った原人? この地域は古くからの歴史を持っている場所なのでしょう。

 そしてあの正面、郵便局の前が、6年ぶりの懐かしいDolomitenhofドロミテンホフのガストフです。【●ドロミテ・エリアで利用した宿紹介

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【125.jpg:右に3kmでHollbluck村。Kartitschカルティッシュ村が徐々に近づく。この正面に見えるのがドロミテンホフ】


 午後5時、ガストフの前の道路に面したテラスには、村のおじさんたちが陣取って、宿のドアを中に入ろうとする僕たち「異邦人」をじろじろ見ていました。しばらくして出てきた若い娘に「今日泊まりたい」と言うと、どこかに電話して鍵をいくつか持って来ます。「あー休みと言って断られなくてよかった」とほっとしますが、同時に前回居たあの奥さんは居ないんだろうかと、ちょっと残念です。

 はじめに通されたのは、キッチン付きの広い部屋ですが、北側の山に面して眺めが良くない。次は3階でちょっと狭いけれど道路に面した眺めの良い部屋。前回は2階の西向きの部屋でしたが、そこより景色を見るのには条件はいいようで、ここに決めます。

 6年前と大きく変わっていたのは、エレベーターが付いたこと。こんな木造のログハウス風の家でも、あの大きな機械が入るんですね。そしてまだシーズンは始まっていないのに、ほとんどの部屋に客が滞在しているらしいこと。ベランダの左右の部屋の前には、洗濯をした作業着のようなものが干してあります。工事などで長期滞在している客なのでしょう。

 夕食は7:30からなので散歩に出ます。前回も行った目の前の教会と、そこからのカルティッシュ村のうねった牧草地の風景を見に行くのです。

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【144.jpg:St. Leonhard サン・レオンハルド教会】

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【156.jpg:教会の内部は、前回よりきれいになったような気がする】

 そして教会は・・・外壁の十字架の絵、内部の壁画など、前回もあったのですが、どこか以前より明るく、ふだんからの手入れを感じます。

 このSt. Leonhard サン・レオンハルド教区教会は、1479年に建造されたものとのことです。パオロ・サントニーノが峠のむこうを旅したのが1485年。その記述の中にもこの村やドッピアーコのことを触れていますからですから、それ以前からの古い教会です。

 田舎に行くと村の皆さんが全員で、教会をきれいにしているのがわかります。この点日本は、経営のうまい寺や神社だけがきれいになり、そうでないところは日に日に暗く斜陽になる感じを受けますね。

 帰り際、前回はなかったCoopコープを見つけ、明日の果物や花の種などを入手しましたが、商品数も多く村人にとって便利になったことでしょう。

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【194.jpg:ディナールーム】

 夕食の時間になり、ディナールームに降りていきます。前回と同じく、シュニッツェルとソーセージは、十分以上のボリュームです。そして最近、どこの宿でも健康のために油を控えるためなのか、フライドポテトはほとんど出ないのですが、ここは前と変わらず、たくさんのフライドポテトが付いています。

 部屋の、あのコーナーの金魚も健在でした。過去の写真と比較してみて、この子とこの子は一緒かな?と。でも、金太(キンタ)も魚子(ウオ子)も、こちらの顔はぜんぜん覚えていないようです。

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【197.jpg:】

宿の金魚  kartitsch
【宿の主の6年前と】【204.jpg:まだ健在な彼ら】

 ディナーの途中で、あの奥さんらしい人が出てきました。一瞬違う人?と思ったのです。が、しばらく見ているうちに「ああ、この顔だった」と思い出します。この6年で、すっかりお歳を重ねてしまったような、服の色にも関係するのでしょうが。

 食事の後、他のお客さんと話をしている奥さんに声をかけます。こちらの英語は通じず、先に出てきた娘さんの通訳で「6年前に・・・、翌日土砂降りのトレ・チメの山に・・・」などと話をしましたが、奥さんはもうすっかり忘れていました。でも、当時から居た金魚のことや、日本茶のティーバックが出たことなどを話しているうちに、少し記憶の隅に見た日本人を思い出したようです。隅のほうでニコニコしている年配の人が、ご主人なのでしょう。

 宿は息子が仕切っているようでした。英語がぺらぺらな、貫禄のある体格のインテリに見える30代半ばの息子は、地元の役場や銀行などに勤めているのでしょうか? あのエレベーターを追加したり、たくさんの客を呼び寄せる腕も、この自信一杯の息子だからできることのように見えます。彼の「日本の車はいい」とか「何でヨーロッパの峠ばかりを走るんだ? アメリカにもいいところが一杯あるのに?」などと、客を喜ばす腕もなかなかです。

 そろそろ眠くなってきて、部屋に帰る前、 「明日はグロスグロックナーの峠を越え、北に向かおうと思っている」と話すと、
「明日以降、オーストリア北部は大荒れ。フランスから流れてきた暴風雨がスイスからドイツを通過する予報だ」とのことでした。詳細の情報をテレテキストのようなもので入手してくれましたが、最新の情報を定時に流すTVのチャンネルと放送時間を教えてくれました。さて困りましたね・・・

宿のかみさん  kartitsch
【宿のかみさんの6年前と】【1e4.jpg:健在+孫には目がありません】

 翌朝、奥さんは孫の写真を見せてくれます。まだ生まれて3カ月、近くの村にいるというその孫の写真を見る時の「おばあちゃん」の顔は、本当に幸せそうでした。

<関連Web-Site>
<Sillianシリアン関連>
 ☆Sillianにある屋根付き木造橋【名古屋大学大学院:中央ヨーロッパの木造橋
 ○Sillian【シリアン村の観光ガイド】

<Kartitschカルティッシュ関連>
 ○http://www.dolomitenhof.net【Gasthof Dolomitenhofガストフ 17世紀に作られた家だとのこと:Dorfmitte,Tel.: 04848 5245(kitamura2回宿泊)】【●ドロミテ・エリアで利用した宿紹介

 ○http://www.sillian.com/kartitsch/live.html【Kartitschのライブカメラ】
 ○Alpengasthof zur schonen Aussicht【Hollbruckにある,Tel: 04848 5274:(Matsumiさん愛用の、親切なよい小ホテル ***)】
 ○KartitschのSt. Leonhard教会 【1479年建造】
 ○Karnische Alpen【山岳写真:Osterreich→Karnische AlpenでObstanser-Seeなどが】

<・・・大荒れの予報・・・さてこの先どうしましょうか・・・>
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