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Julian-Alps Gozaからの眺め

Julian-Alpsユリアン・アルプスの北ルート(R907号線)
 トリグラフ(トリグラウ)国立公園の北側から見たスロベニアのアルプスは、スイスやイタリアにも負けない眺めです。

 国の面積が、スイスの半分、オーストリアの4分の1しかないスロベニアなのに、このトリグラフ(トリグラウ)国立公園は、スイスの5倍、オーストリアの半分もあるのです。
[北村 峠一]      



【右下のBledから、緑色のR907号線を行く】

 ブレッドの町から、Sobeのおばさんに教えてもらった「Triglavski National Parkトリグラフ(トリグラウ)国立公園」の中のR907号線を行くことにします。当初想定していた道は、一度東に行き高速道路、または国道でサバ川を行くルートでしたが、この国立公園内の道の景色のほうがいいと、おばさんのお勧めです。

R907号線
【101.jpg:ブレッド郊外を北西に】

 ブレッドの郊外に出、ボヒニ経由でイタリア方面にいく鉄道の下を抜け、田舎道をGorjeの村に出ます。このあたりも牧歌的な風景が続きます。

R907号線 R907号線
【111.jpg:イタリア・ゴリツィア〜ブレッド・ボヒニ湖〜オーストリア・フィラッハルートの鉄道を抜ける】 【114.jpg:Gorjeの村に入る】

R907号線
【120.jpg:Spodnje-Gorjeの集落を通過。干草掛けが道沿いに】

 郊外の牧草地を走ると、道の端に干草を掛けるらしい「柵」があちこちに現われます。この柵の風景、各国・地方ごとに特徴があって、見ていて楽しいのです。(どこかで、この牧草干しの柵の画像をまとめてみたいですね)

 が、スイス、オーストリアでは数年前から刈り取った牧草は、刈るそばから機械で巻き、その上を自動的にビニールで包んで保管する方法に変わってきています。まだこのスロベニアでは、その機械化・自動化の必要性は感じていないようで嬉しい風景です。旅人の勝手な要望「旅情を残して欲しい」という思いと、「効率的に」という自由・競争社会の現実は、あと数年の時間の問題になりそうです。

R907号線
【127.jpg:左のPokljukaの山系を越えて、ボヒニに行くルート、トリグラフ(トリグラウ)山に登るルートもある】

R907号線 R907号線 R907号線
【140.jpg:一番下に小さくMojstranaとあるのを見逃し奥に】 【148.jpg:Krnica村ちょっと奥まで走ってしまい・・・戻り】 【153.jpg:やっとRadovnaの行き先表示を見つける】

トリグラフ(トリグラウ)国立公園  Krnicaクルニチャ村を境に、道は未舗装になりました。「Triglavski-Narodni-Park トリグラフ(トリグラウ)国立公園」にまた入ったのです。一昨日、ボヒニ湖付近で公園内に泊まった後、Sava-Bohinjkaサヴァ・ボヒニ川に沿って公園の外に出て、また入り、これからイタリアに抜けるまでの間この国立公園の中・外を走るわけですが、ずいぶん大きな公園です。

 アルプスの近隣国と比較してみると表のように、スイスとは、国の面積は半分しかないのに、国立公園の面積は約5倍。(もっともスイスはエンガディンに唯一の国立公園しかないので、あまり比較にはならないかもしれません)。オーストリアとは、国の面積は4分の1以下でも、最大規模の国立公園の約半分。国土の4%以上もあるような大公園、環境などを規制できる大きなエリアを持っているわけです。きっと今後のEU加盟後などに、この公園は大きな観光武器になるでしょう。

●国立公園の面積比較
 国の面積
(ku)
人口
(万人)
最大面積の国立公園
 ・面積(ku)
URL
スロベニア 20,251
(四国の1.1倍)
 198Triglavski:
  838
トリグラフ(トリグラウ)国立公園
スイス 41,288
(九州の1.1倍)
 704-(グラウビュンデン州):
  172
スイスの国立公園
オーストリア 83,849
(北海道と同程度)
 853Hohe-Tauern:
 1,780
ホーエ・タウエルン国立公園
日本377,88712,434大雪山:
  227
大雪山国立公園


R907号線
【173.jpg:手の形をした碑に、たくさんの
人名と1873年〜1944年の日付。
動脈の彫刻は、まだその人たちの
息遣いが流れているように感じる】


 この濃い緑の木々の間の道は、比較的平坦で快適です。1−2組のサイクリングの家族も見かけます。小学校低学年の子供の自転車をかばうようにして、お父さんが後ろから走る姿はいいものです。

 と、Radovnaを過ぎたあたりで、道の脇に石でできた記念碑のようなものが見えてきました。「手」の形の石に「人名と年」が書かれています。「1873年〜1944年」の範囲に分布していますが、多分以前もポストイナで書いた<スロベニアの最近100年間の戦いの歴史>や、Rogla ログラ峠で書いた<峠の記念碑:ファシズムへの抵抗の時期>の時期とほぼ一致します。こんなことから、スロベニア独立のために命を落とした戦士の記念碑ではないかと想像するのですが。
(観光協会などに問い合わせをしようと思っています。もし皆さんからの情報があれば、よろしくお願いします)

R907号線
【171.jpg:Radovna付近の山中で、柵に囲まれた遺跡?と名前の書かれたモニュメントを見る】

−−−−

 林が切れ、前方の山の上に、光った山の嶺が現われます。白い岩山が、朝日に見事に反射して、雪のように見えるのです。1/25万の地図に、眺めの良い場所に「目」のマークで記録してみました。(今後展望ポイントを見つけてドライブ・撮影などをする方のためにと思って・・・)

R907号線 
【181.jpg:Radovna付近で、山の上に雪のように光った岩山の頂きが見える】 【1/25万map:クリックで拡大。山の眺めのいい場所に、「目」のマークをしてみた】


R907号線
【192.jpg:見事な岩山。雪ではなく岩が朝日を反射し、光っているようだ】

 さらに5kmほど西に行った場所、Zgornja(Zg.)Radovnaのヒュッテが前方に見えだした位置からは、Krmaの渓谷の両側に見事な形の岩山が見えます。さらに三角の山の、その上に、頂上だけが光って見える山は、Triglavトリグラフ(トリグラウ)山(2864m)か?(トリグラフ(トリグラウ)(2864m)の山のサイトはここ。) ここのKrama、Kotの谷、さらに西のVrataの渓谷からも、トリグラフ(トリグラウ)山へのトレッキングルートや、岩登りのポイントもあるようです。

R907号線
【1c4.jpg:Zg.Radovnaのヒュッテ(?)が見える位置から、南南西方向に見事な山の形が。ここからトリグラフ(トリグラウ)山へのトレッキングルートもありそう。】

R907号線
【1e2.jpg:地図によると、このKrmaの渓谷の先には、Tosc山(2273m)などがあり、右端の頂上だけの山はTriglavトリグラフ(トリグラウ)山(2864m)かも?】

R907号線
【1e4.jpg:Zg.Radovnaはヒュッテだけでなく、何軒かの家もあるようだ。冬にはクロスカントリーなどの拠点にもなりそう。さらに渓流の釣りの拠点にも。】

R907号線
【209.jpg:Zg.Radovnaの建物の西側も、先ほどの眺めが楽しめる。手前の三角の山の右にKotの谷が開けてきた。】

 このなん軒かのヒュッテのあるZg.Radovnaから先、Mojstrana村に抜けるには、低い峠があり、狭い林の中の未舗装の道を行きます。

R907号線
【228.jpg:その先、ちょっとした峠越えの狭い道が曲がりくねって続き、しばらくして民家が見え出す。ここで国立公園から出る。】

 国立公園に接した大きな村Mojstranaは、木肌、漆喰、マリアテレジア・イエローなどの壁の民家がみえ、建物や庭先の果樹それらの手入れ具合などから、きっと豊かな農家が多いのではないかと思われます。夏に山に登ろうとする人たち、冬のスキーシーズンに来る人たち、オーストリア・イタリアからの交通も便利なこの地は、隣国に比べて安価な宿代で旅行者を喜ばせていることでしょう。

R907号線
【247.jpg:Mojstranaの村。木肌の壁の家、漆喰、マリアテレジア・イエローの古い民家など、見ていて楽しい家々だ。】

R907号線
【277.jpg:Kranjeska-Gora15kmの表示が出るが、国道まではまだ曲がりくねった道を1kmほど】

R907号線 R907号線
【295.jpg:オーストリアへのKaravanski-Predorトンネルまで10kmほどのこの村、たくさんの観光客受け入れの宿などの設備がありそうです。】 【2a6.jpg:Sava-Dolinka川は、サバ川の源流。ここから旧ユーゴを流れていく。】


 Sava-Dolinka川は、トリグラフ(トリグラウ)山の北に向かって流れ出した川。南に流れ出したSava-Bohinjka川と、ブレッドの東のRadovljicaで合流しSavaサバ川になります。

 その橋を越えたところで、国道R202号線の合流点に到着。ここからもトリグラフ(トリグラウ)などの見事なユリアン・アルプスの山並も眺められますが、同時にオーストリア国境のMittagskogel山(2145m)の岩肌もなかなかです。そして大きな銅像があります。Jakob Aljaz(1852-1927)氏、スロベニアの登山家だそうです。

R907号線
【2e7.jpg:国道との分岐点。東に向かってサバ川が流れ下っていく。左の山はオーストリア国境のカラバンケ山脈】

R907号線
【318.jpg:分岐点から西、南を見る。左(南)はMojstranaの村、その先トリグラフ(トリグラウ)などのユリアン・アルプス。右(北)の雪山は、オーストリア国境の、Mittagskogel山(2145m)】

●Mojstrana付近のWeb-Site
「Dovje-Mojstrana」
 →Znamenitosti→Spomenik Jakobu Aljazu

【Jakob Aljazヤコブ・アリヤ(1852-1927)、
スロベニアの登山家で、トリグラフ(トリグラウ)山に
1896年登頂した。
山小屋作り、遭難者救出などに生涯を
ささげた聖職者。】

R907号線 R907号線
【319.jpg:南のMojstranaの村、その先トリグラフ(トリグラウ)山などのユリアン・アルプス。ここからの景色もなかなかいいが、少し遠い。】 【303.jpg:Mittagskogel山(2145m)を背に銅像が・・・Jakob Aljaヤコブ・アリヤ(1852-1927)】

R907号線
【338.jpg:サバ川にそってなだらかな国道を上っていく。遠方からは城?と思ったのは、「Lip-Bled」とある工場だった。Belca村を通過し・・・】

 国道R202号線が、Sava-Dolinka川を越える橋に差し掛かったとき、その橋越しに見えたアルプスの眺めは、本当に目を見張るものでした。これだけの景色は、スイス、イタリアの山ふところの村でもめったに見られないもの。この先の峠越えが大いに期待できます。

R907号線
【365.jpg:このSava-Dolinka川を越える橋越えに見えるアルプスの眺め、多分スイスや、ドロミテにも対抗できる風景。】

R907号線
【372.jpg:Skrlatica山(2738m)を主峰とする岩山。すばらしい。】

 この先、オーストリア国境のWurzen峠(1073m)に往復した後、Kranjska-Goraの村経由で、スロベニア最高峠のVrsic(1611m)に。


<Karavankeカラヴァンケ山脈を標高差約200m、Wurzen峠(1073m)に向かいます・・・・>
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