Bled/Blejsko-Jezero
ブレッド湖-1
ブレッド城から見下ろすこの「エメラルドの瞳」、確かにスロベニア第一の美しさです。
昼からビールやワインが飲めて、電車の旅人たちはいつもこんなにゆったりと・・・うらやましい! と思ったのです・・・が・・・
[北村 峠一]
ボヒニ湖から約30kmで中心街に到着。先に宿を決め、歩いて湖を一周しようと思います。ちょっと外れの無料駐車場に車を置き、インフォメーションを探して。まだ9時半、こんな時間に来る客も少ないせいか、対応してくれた40歳台の女性はすごく親切。こちらからほとんど条件も言わないのに「静かで、きれいで、安くて、いい宿があるよ」と、SOBE(ソーベ:プライベートルーム)朝食付き8400Sit(≒5000\)/2人を紹介してくれます。「宿を見て気に入らなかったら、キャンセルしていいんですよ」と言いながら、早速電話。
【109.jpg:Sobe-Stojanovic-Janja】
10分ほどするとハアハアと息を切らせた、やはり40歳台の奥さんが車で迎えに来ました。
「駐車場まで歩きますよ」という僕たちに、
「まあ乗って」と。でもこの交通量の多い交差点、右・左・右・左と心配そうに見るばかりでなかなか出発できません。
「この付近、車だらけで大変。あまり運転もうまくないので」と言います。たしかにちょっぴり心配。
「安全運転で、いいドライバーですよ」と褒め言葉が出てきたのも、旅が10日目、余裕が出てきているからでしょう。
歩いても10分ほどの住宅地。日本のペンション風の10室以上もありそうな建物。その2階の部屋に案内されます。自宅に着いてもこの奥さん、息を切らせて駆け足です。たしかにこれだけの部屋の掃除、洗濯、花や芝生の手入れ、当然家族のことなどすべてをほとんど一人で、かつ完璧にやろうとするので、この奥さん本当に忙しいのでしょう。それにちょっと太り気味かも?
このような個人の部屋は、
スイスのレザン
以来。あの時もやはりインフォメーションの女の人の推薦、知人なのかも知れません。皆さんも民宿など経営するとき?、観光案内所の女性と仲良くすると、きっとお客が増えますよ。
10時半、湖を一周するため身軽な格好で出発です。道の正面に真っ白な高い山が見えます。庭でカラフルなシーツを干しているおばあさんに、山を指差して聞くと「トゥィラウ(トゥイグラウ)」と教えてくれます。どこかで聞いたことある名前、「あ、スロベニアで一番高い山、Triglavトリグラフ(トリグラウ)ですか?」「そう、そう」。この観光地は、お年寄りでさえも単語レベルの英会話には不自由しない、国際的なところのようです。
【121.jpg:Sobeの隣のおばさんは、あの山の名前を教えてくれる】
【127.jpg:あの白い山がトリグラフ(トリグラウ)山だという。】
「宿代はこのインフォメーションに払いに来るように」というやり方は、あまり他では聞いたことがありません。もしかすると『共産的』システムなのでしょうか。手数料や税金などを引いた分をソーベに振り込むのです。個人が、特に主婦が経営していくには、わずらわしいことは「組合」でやってくれる、いいシステムのように思えます。
【139.jpg:インフォメーション付近からの眺めもなかなかいい。周りにホテルが沢山ある。】
【151.jpg:ブレッド湖。ここの魚は勝手に取っていいのかな?漁業権とか無いのかな?左のボートは、聖マリア教会への渡し舟だろう】
【湖の中の線は、ボートレースのコース。
湖一周は約6km、ゆっくりで3時間と書いてあったが・・・。宿は右のsの場所】
支払いを済ませ、湖に向かいます。今年のヨーロッパは猛烈な暑さ。日曜日のせいもあり、水辺には早くから町の人、観光客などもたくさん出ています。こっちには釣りをする人、むこうにはボートレースを見る人。
ボートを押さえるテントの中の娘たち、この猛烈な水からの照り返しで「暑くてもう嫌だ」という風でぐったりしています。でも、さっき一度フライングをしてしまった手前の娘は、今回はまじめに両手でボートを押さえています。スターターの号砲で飛び出した選手達もこの暑さの中、約2km先の対岸まで死に物狂いで漕いでいるのがかわいそうなほどです。
【167.jpg:ボート競技が行われている】
【175.jpg:ボートを押さえる女の子は、テントの中に】
湖畔で新婚さんの記念写真の撮影に出会います。スロベニアもやはり6月が結婚シーズンなのでしょう。その中の礼服のちょっとかっぷくのいいおじさんが、僕たちに「スロベニアは初めてですか」と声をかけてきます。
「そうです、いいところですね」。新婚旅行はどこに行くのかと聞くと、「彼らはエジプトに行くんだよ。日本人はハワイやオーストラリアに行く人が多いよね」とかなり日本のことに詳しいのです。もう10回以上もスキー用品などの商売で、日本に行ったことがあると言います。彼らは自宅に近い教会で結婚式を挙げ、今晩はオールナイトでダンスのパーティとのこと。30歳と27歳のなかなかすてきなカップルは、この湖畔を散策する沢山の人たちのお祝いの目に、幸せそうです。
【191.jpg:新婚さんの記念写真に出会う。左の太ったおじさんはスポーツ商。新婦のスカートの裾をそろえる新郎】
【1a7.jpg:いろんなポーズで写真を撮って】
【1b1.jpg:ユリアンアルプスに抱かれたふた粒の真珠「ブレッド湖」「ボヒニ湖」。が、やっぱブレッドですね、海抜は523m】
湖畔から約100mもの岩の上のブレッド城まで、一気に坂道を登ります。入場料は博物館代込みで800Sit(≒500\)/人。そしてここからの景色が、スロベニアNo.1なのです。
【1e8.jpg:Blejski-Gradブレッド城から見る最高の風景】
【1d7.jpg:ブレッド湖の小島にあるマリア教会】
その中でも最高の角度からゆっくり見るには、この城壁の、このイスでなければいけません。しかしそこは食事をとらないと座れない場所です。軽いスープや、サラダを注文するだけでいいのですが。僕たちがここに居座っている間、何人もの人たちが来て、ほとんどが追い出され、下の見晴らしのあまり良くない場所でコーヒーなどを飲んでいました。
サラダとポテトフライ。そして今日は、車を運転していないのでワインとビールも注文できます。お昼時の1時間、パラソルで影になった風通しのいい展望台。ゆっくりと、のんびりと、そしてすこし身体がフワーっと。こんな至福にしてくれる液体がいつでも飲めるなんて、電車で旅する方たちは本当にうらやましいですね。いつも車で旅をしている僕たちにとって、こんな昼時は久しぶりです。
【210.jpg:ポテトフライ、トマトサラダ、ビール、ワイン・・最高。1900Sit≒1100\】
【231.jpg:城には博物館もあって、800Sit≒500\/人】
【260.jpg:町の中心方向を見下ろす】
ゆったりすぎる時間のあと、せっかくなので博物館を見ていくことにします。あ、あの外観と動作は・・・今回の旅ではじめて出会う日本人・・・母、娘です。
「こんにちは」と声をかけます。
「あら、めずらしい」
日本人同士は、旅先であまり挨拶しないことになっているのでしょうか。むこうから声をかけてきたことは、今まで一度もありません。田舎中心の2、3週間、まず日本人に出会わないので、こちらは懐かしがって話しかけると・・・今初めてあなたの存在を知った・・・というような「あら」とか「まあ」とかいう反応をします。旅先に行ってまで、自国の人に会いたくないのかもしれません。あるいは、僕たちが日本人に見えないのかも。
このあと湖を回る途中、一人旅の日本人らしい女の人とすれ違いました。遠くから見ても淋しそうな、失恋旅行?じゃないかと感じてしまうほど。近寄りがたく、声をかけるのもやめたのですが。これが今回の旅で出会った日本人すべてでした。帰国途中、Yさんにパリ見物に連れていただいたときには、信じられないほどたくさんの日本人がいたのに。
【233.jpg:中世の遺品のある城内から、窓越しに見るブレッド湖もまたいいものです】
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城の博物館には、ケルト、ハルシュタット文明の遺品、中世の騎士の鎧・武器なども展示されていました。出口から見えた僧侶たち、一瞬人形かと思いましたが、ビデオカメラをちょっとにらんでいましたから、生きた人物でした。それにしてもあまりに絵になるシーン、姿ですね。日曜のミサの後だったのでしょうか?
【1d2.jpg:日曜のミサの後なのか、映画のシーンに出てくるような衣服と姿。髪の毛・ヒゲ・ガウン・立派な体格が一種異様です】
<湖一周はまだまだです。猛暑の中、あのワインが効いてきて、ちょっとだけ後悔します・・・>
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