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●「ハンニバルと象」がこの地(推定)を進軍した当時の状況など。●前のポイント「Gorges-Gas」← 【●ハンニバルの有力推定ルート】 →●次のポイント「Grimone」
<ここまでの経緯> ・カルタゴの軍は、この村の直前「ガ渓谷」で奇襲に会い、歩兵2千300人、騎兵400、象8頭を失った。 <この地のハンニバル> ・「Gorges des Gas ガ渓谷」を東に抜けたところにこの村はある。 ・この地点を通過した行軍の規模は、歩兵3.5万人、騎兵7.6千騎、象26頭。 ・ハンニバルが、このグランダージュ村を通過したのは紀元前218年10月12日頃。 イタリア国境の峠越えまで残13日。 ・襲撃した山岳族アプロゲスの大半はハンニバルの軍に殺され、生き残ったものも敗走し、居住地に追い立てられた。 紀元前218年10月なかば・・・ あの不気味に切り立った岩肌の渓谷の方面から、数万人もの軍と象がこの村に入り、そしてグリモーネの峠に向かっていきました。 突然、その隊列のずっと後、渓谷のほうから、馬のいななき、象の雄たけび、そしてたくさんの男たちの悲鳴がこだましてきて・・・軍の中に大きなざわめきが流れます。 しばらくして、パニックになって走ってくる裸馬、逃げてくる兵士、象使いたちをふり切り 鼻をふり回す象、さらにぞくぞくとけがをした兵士。 数人で運んできたタンカの上、馬の背には、生き絶え絶えの戦士。この目の前の刈り取った後の牧草地は、それらの兵士たちで埋め尽くされたのです。 そして、まだ渓谷に入る前の残りの兵士たちも、またいつ襲われるのかと不安な気持ちで、10kmほどの渓谷の薄暗い谷間を進みました。谷の下から聞こえてくる悲鳴や、動物たちの悲しい泣き声を耳にしながらやっと抜け、そしてこの明るい村を見つけほっとします。 生きのびた嬉しさを味わったでしょうか。あるものはふるさとに残した妻・子供・家族を思い、あるものは神に感謝したでしょう。 ハンニバル28歳、はじめての大きな痛手を負ったのです。 部下の歩兵2千3百、騎兵4百、象8頭を、あの渓谷で死なせてしまったのです。 皆ハンニバルに従っていれば負けることはないという気持ちで、スペインの地から4カ月。一緒に行軍し、食をともにした部下でした。毎朝夕 作戦をともに立てていた隊長も、30人ほど到着しないのです。それぞれが約100人の部下を持つリーダーたちでした。 指揮官として初めての大きな試練です。何をすべきかを悩み、そして老知恵者と相談します。 「何隊かを負傷者介護と、死者の弔いのためにこの地に残す。」 「他の部隊は、この先の山を越えた安全な地に進軍させ、1日の休息を取らせる。」と判断した可能性が大きいのです。 今僕たちは奇襲現場の先の、この村にいます。この足元に多数の兵士、馬、象、そして軍の荷などが眠っている可能性が。 ここにカルタゴの祭壇、ケルトの墓などをつくり、目印の巨岩などの名前を後世に伝えようとしたのでは。 Glandageグランダージュ(Gland-age:古いどんぐり→Grand-age:大昔?)村、Grimoneグリモーネ(Grimoire:魔法使い?)峠、さらにはGasガ(Ga→Galleyガリア?)渓谷などという地名にその名は残っているのでしょうか?
【グランダージュ周辺の推定ルート地図(緑ルート)】
紀元前218年頃の宗教はどのようなものだったでしょう。 (まだキリストは生誕していません) ・カルタゴの宗教(ハンニバルの母国) パレスチナ付近(旧約聖書のエリア)を祖先とし、チュニジアにあった国。 海・貿易で栄えた国。 バール・ハモン、女神タント:豊饒の女神・・・農業の神 人身御供もあった 『カルタゴ興亡史』松谷健二著 白水社1991.4 ・ケルト人の宗教(アルプス地域の部族) 迷信深い人々、自然界のすべてのことが神に結びついている。 (この民族に文字がなく言葉で伝えてきたため、体系的な記録が残っていない。) 地母神、部族神、主神群像、神聖動物、陣頭崇拝・・・・ 『ケルト文化誌』バリー・カンリフ著 原書房1998.11 ・古代ローマの宗教(ポエニ戦争時代) 古くから多神教。自然界に神が宿ると考え祭礼を行い、いけにえをささげた。 農耕・牧畜にかかわる神=軍神マルス、天空の神ユピテル、かまどの女神ウエスタ、など。 『古代ローマ:Newtonムック』アンソニー・ブリアリー著 教育者出版1996.9 どの国も、多神教で、主に農耕にかかわる神を信じていたようです。 ・・・皆さんの想定、推測情報などありましたらお願いします ●前のポイント「Gorges-Gas」← 【●ハンニバルの有力推定ルート】 →●次のポイント「Grimone」 ・Gavin de Beerギャヴィン・デ・ビーア 『ALPS and ELEPHANTSハンニバルの象』時任生子訳:博品社(G-page) ・John Prevasジョン・プレヴァス『HANNIBAL CROSSES THE ALPS ハンニバル アルプス越えの謎を解く』村上温夫訳:白水社(J-page) ・Hans Baumannハンス・バウマン『ハンニバルの象つかい』大塚勇三訳:岩波書房:(H-page) ・The Green Guide:『French Alps』2001 Michelin:(M-page) |
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