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【g984.jpg:ユーフでは時間が逆に回る。Ibexアイベックス/Steinbockシュタインボックと共に】

Jufユーフ村(2126m) -2

過酷な気象条件で、時間も逆に回る?・・
死んだ牛・・ヴァルザー人・・【●渓谷DB

スイス:グラウビュンデン州(GR)】[北村 峠一].(Kitamura)      


●もしかすると時間が逆に流れている村?
道路の工事閉鎖も3時間・・


 ユーフの村に泊まろうと移動していた初日、村の直前のJuppaユッパという集落で舗装工事のため、通行止めにされてしまいました。まだ12時過ぎでしたが、作業している人の指示は「道路工事なので30分待て」とのことでした。すぐその下の小川沿いに大きな駐車場があり、トイレや子供の遊具があってそこで待つことにしました。

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【r254.jpg:Juf直前の村Juppa】

 ところが時間になって道路閉鎖のところに戻ると、責任者風のおじさんが「3時まで閉鎖」だと言うのです。アスファルトが冷えないからのようなことを説明します。

 1時間半以上も後・・まだ宿も確保していなかったので、ちょっと心配しましたが、まあ仕方なく下のクレスタに戻って村の教会や古い建物を撮影したり、車内で絵葉書を書いたりして時間をつぶします。

 ちょうどユーフ行きのポストバスが登っていくので、きっとこのバスの後ろに付いて行けば、道路工事もそれに合わせて終わるのだろうと付いていったのですが、アスファルトを平らにするロードローラーで、完全に道路を閉鎖しています。さらに当然行くだろうと思ったバスまで、工事現場で折り返して戻って行ってしまったのです。
「お客さん無視? 下りの観光客がいたら大変だろうな・・」などと思いながら待つこと20分ほど、3時ちょうどに道路閉鎖は解除されました。

 走りながら観察すると、200-300mの区間を全面舗装したのです。日本ばかりか、ヨーロッパのあちこちだって、道路巾の半分ずつ閉鎖して、片側一方通行するのが当たり前と思っていたので、ちょっと不満です。

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【g216.jpg:Andeeerへのバスは1日6本。最初(6:45)と最後(17:55)は中学生の通学用】 【g217.jpg:お土産屋兼キオスクは月−金が午前中2時間、午後3時間。ただし6/19は午後は休み・・これが道路工事だった】

 やっとユーフ村に着いたのですが、たった一軒しか無さそうな土産屋が休み。バスがUターンする場所に、唯一の宿らしいところがあったのですが、(Juf-1)で書いたように、ペンション・エーデルワイスの奥さんは、英単語が出てくるだけでパニックになってしまいました。ですから4泊出来る事になったときには本当に嬉しかったのです。

 そして夕方、バスの時間や、お土産屋兼キオスクの営業時間をゆっくり調べに行って、
「今日の午後は工事のため休み」と計画通りだったことをはじめて知ったのです。観光客がまるでいないこの時期だからこそできる、工事閉鎖だったのです。

 住人は25人ほど。6歳から小学校はクレストに、中学はアンデールまで約1時間ポストバスで通うので、夕方6時前のバスさえ動いてくれれば問題ないようでした。参考までに・・高校はクールなので、寮などに入るようです。

 宿の壁にあった時計の、数字と針の動きが普通と逆なのは、決してユーフの時間が昔に戻っているわけではありません。
 でも、宿のおじさんに、「あれがユーフならではの時計ですね」と言うと、喜んでくれ、その脇の大きなシュタインボックを指差して、
「あのでかいアルプス山羊は、この裏山で、罠(ワナ)で獲ったもので、鉄砲で撃ち殺したのでは無い」と、文明の利器を使わない事を誇らしげに説明してくれました。

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【g133.jpg:手前の宿エーデルワイスと、奥が郵便局兼キオスク】

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【r261.jpg:キンポウゲ系の黄色い花が、村の牧草地に一杯咲く】

●過酷な気象条件・・夏なのに雪が積もる・・晴れれば快適だが・・携帯電話も不通・・


 ユーフ村(標高2126m)は本当に寒いところです。「「年間通して人が住む、アルプスエリアで一番高い標高の村」」は、そこに生活するのが実に大変なところです。2食付き2人で144Chf(約1.3万円)の新タイプの部屋にしてよかったのです、もし116Chf(約1.1万)の旧タイプの部屋だったら、暖房が余り効かず、熱い湯が蛇口から出なかったようです。

 あまりに寒い気温が続くと、身体も、思考も異変が起きるような気がします。連日近隣の谷をハイキングしたのですが、6月の後半なのに晴れていても寒く、霧・小雪が舞います。車で移動中、時々「低温すぎる」というアラームが車に表示されましたから、0度を下回っていたのかもしれません。毎日昼過ぎには早々に部屋に戻り、ベットにもぐりこみ、自然に昼寝をしてしまったのです。天国に近い村は、寒く、過酷で、ものすごく眠くなるんですね。

 深夜、メールを送ってBlogに書き込もうとしたのですが、送信できません。外の強風のため、電波状態が悪くなっていたのか、無線設備そのものが凍っていたのかもしれません。朝一番もだめ(小雪の強風)。この村を下るときもだめでしたが、アーフェラス谷から出たあたりで、ようやくこのメールを送る事が出来たのです。

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【r256.jpg:日中は・・】 【g204.jpg:翌朝は新雪】

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【g982.jpg:部屋からの眺め:陽がさすと】

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【g191.jpg:毎朝:新雪】

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【g207.jpg:雪の朝、小川に沿って村の納屋の間を歩いていると・・】

●雪の朝、死んだ牛・・難産?子牛は?・・


 3日目の深夜3時頃、窓の外に輝くような星が見えていました。そして朝6時頃、山と青空が見えたのですが、7時頃から雪が降り始め1-2cmも積もります。こんな寒さでは1日部屋にいようかなと、朝食時おじさんにサンドイッチ(ハム入りのランチ)を作ってもらいます。

 そして雨具を被って、車の点検とフロントガラスの除雪。その足でちょっと散歩をと、小川に沿って村の納屋の間を通って、郵便局がある上の道に向う途中・・何か異様なものを見たのです・・納屋のぶ厚いゴムカーテンのすき間から、それは飛び出していました。

 死後硬直したらしい、背中を地面につけ両方の足をV字に広げた(裏返しになった状態)の牛が、納屋の中に引きづりこまれているようでした。カーテン状のテント地で隠しているのですが、大きすぎて、そして重すぎて入りきれないのです。お尻から後ろが見え、肛門のあたりが赤く腫れ上がっています。もしかすると赤子を産んだあと亡くなったのかもしれません。

 この村に来た時、あの駐車場の脇の牛小屋に一頭、ものすごく大きなお腹をした牛が繋がれていました。あれから1日半、昨夜のあの寒さ、雪が積もった頃亡くなったのかもしれません。子牛は無事だったでしょうか? でもこのユーフ村で生まれ育った牛ですから、この程度の寒さで亡くなるとは、生命力がなさ過ぎ・・運命でしょうね。
 他の牛たちは、何事もなかったかのように、斜面で草を食べていました。

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【g137.jpg:来た日に、宿の脇の牛小屋で一頭つながれていた、お腹の巨大な、出産間近の牛だろうか】

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【v188.jpg:死後硬直の牛? 背中を地面につけ両方の足をV字に広げた状態?】

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【v191.jpg:他の牛たちは斜面で草を食べている】

−−−

●ヴァルザー人の村・・


 宿のレストランに、ヴァルザーの写真集が置いてあります。Jufユ−フ村もそこに出てきました。この村に彼らが移住したのは1292年で、彼らはクールの司教と領地に関して和解し、約束の署名がなされたとのことです。そしてこの村は、山を越えてBivio(ビヴィオ)やBregaglia(ブレガリアの谷)をつなぐため頻繁に使われたとの事なので、ヴァルザー人はその峠越えの荷役で生計を立てていたのでしょう。

 キオスクのお姉さんの説明では、この谷はヴァルサー人が移住したのでドイツ語。Bivioはドイツ語・イタリア語・ロマンシュ語が使われているとのことでした。

 ある夕食時、宿の厨房から、多分テレビだろうと思われる、どこかの大きな教会の鐘の音が、いつまでも鳴り響いていました。ヴァルザー人は厳格なカソリック教徒だとのことで、ローマ・バチカンの衛兵は、ヴァルザー人が中心だと読んだことがあるほど、歴代、信仰の厚い人たちのようです。

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【g307.jpg:古い木壁の家】
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【g3072.jpg:木壁をアップしてみると・・】

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【g306.jpg:木壁をアップしてみると・・】

<関連するサイト>

http://it.wikipedia.org/【ユーフに1292年にヴァルサー人が移り住んできた】
http://hls-dhs-dss.ch/【スイスの歴史辞典】
http://www.myswitzerland.com/【通年居住最標高の村】
http://en.wikipedia.org/【wikiのJufガイド】
http://de.wikipedia.org/【wikiのAvers渓谷(GR州)のガイド:住民合計170人】
http://www.avers.ch/【Aversのガイド】

<関連書籍・地図>

ヨーロッパアルプスのハイキング地図、ガイド洋書  山渓など:日本語編

<ヨーロッパ・旅・・・>



●スイスのワイン検索


<その3:ユーフの宿とおいしい情報・・>

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