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【la-meije.jpg:ラ・メージュの眺め:ロータレー峠/ラ・メージュから】

ロータレー峠、ラ・グラーブ
Col du Lautaret(2058m)【●峠のDB
,La Grave

フランス・アルプス南部への招待状

フランス:05オート・アルプ県】 [北村 峠一].(Kitamura)      


 このページは新田次郎(1912-1980年)の『アルプスの谷・アルプスの村』を読んで、フランスアルプス南部へ行くのはやめておこうと思っている方への招待状です。

 彼は昭和36年(1961年)佐貫亦男に連れられて、このフランスアルプス、ラメージュ、エクラン、ブリアンソン付近をバスで回ったのですが、道の悪さ、運転の粗さなどの記述があちこちに一杯あるように、悪い印象を持ったようです。そのせいばかりでは無いのでしょうが、今でも日本のガイドブックの大部分はフランス・アルプスとはいえ、シャモニー・モンブランまでしか紹介しないことが多いのです。

 彼は最初に行ったスイス、すでに観光化が進んだスイス・アルプスに比べ、引き続き行ったフランス、その中でも奥深く、交通の不便な秘境、当時の長野県と同じように垢抜けないこの地域に、いい印象を持たなかったようです。私も彼と同じ長野県出身ですが、今のフランスアルプス南部は、スイスアルプスよりずっと魅力を感じます。それに加え多分、この付近の天候が余り良くなかったのではと想像するのです。このページは「あなたの気持ちが変わって欲しい」と思う招待状として書いています。

 城砦のブリアンソンからロータレー峠への登り道、前回はこの道を下ってきたのですが、だらだらと直線で、周りの山の変化もほとんど無く、眠くなるような道だったので、全然期待していなかったのです。ところが同じ道でも、反対に登りながら見るこの違いは信じられないほどです。進むにつれ左右、前方に岩山が現れ、次々とその形を変えていくのです。ドロミテの奇岩ほどの変化は無いのですが、ほぼ直線のせいもあり、ハンドル操作がほとんど無く、わき見運転も十分出来ます(?)

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【ブリアンソン→ロータレ峠→ラグラーブ】
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【v359.jpg:ブリアンソンからの登り道は平坦だが、峠に近づくにつれ岩山の眺めが楽しくなる】

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【v361.jpg:グルノーブルからブリアンソンへの主要運送路だけあって、大型トラックが続く】

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【v398.jpg:岩山の次々と変化し、ドライブが楽しい。使われなくなったホテルやトンネルなども点在する】

 この道はユリアス・シーザーの古代ローマの時代からあったのですが、このように整備されたのは、あのグラン・サン・ベルナール峠を冬期に越え苦労したナポレオンからの、シンプロン峠、モンジュネーブル峠などを「大砲の運べる峠にせよ」との号令下、1800-1805年の大工事の成果であろうと推測できます。

 すでに廃屋になったホテルや、冬季・雪崩れ避けのために造られたトンネルなども点在する道、グルノーブルなどフランス中心地部と、ブリアンソン、イタリアナンバーなどの大型輸送トラックが頻繁に行き来します。さらに進んで行くと、万年雪を被ったラ・メージュが見え始め、右手にはツールドフランスがほぼ毎年走るガリビエ峠付近の奇岩も見えてきました。

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【v446.jpg:ラ・メージュが見え出した。正面三角山の手前を巻いてガリビエ峠(2642m)へのルートがあるから、右端がGr.Galibier山(3228m)だろう】

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【4067.jpg:峠から見るラ・メージュ】

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【4066.jpg:峠から見るラ・メージュ:正面氷河がGlacier-du-Lautaret。
La-Meije頂上(3982m)は一番右上】
 ロータレー峠Col du Lautaret(2058m)に到着です。【●峠のDB】 ここで道は別れ、北に行くとガリビエ(ガリビエール)峠(2647m)を経由しサヴォワ県に入るのです。

 そしてラ・メージュの勇姿を見ると、正面がGlacier-du-Lautaretロータレー氷河。ラメージュの頂上(3982m)は一番右上。この先西に進むにつれ別の氷河や頂が現れてくるのです。


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【v484/v498.jpg:峠から西にラ・グラーブに向かう】



 峠から約10km、正面に見えてきた斜面に張り付いた点のように見える建物は、Chazeletシャズレの村です。教会の入口ドアが閉まっていて、村の人が鍵を貸してくれた、あの想い出の村です。そしてその下方にラ・グラーブがあるのです。前回泊まった「La Meijetteラ・メイジェツ 」のホテル、あのマダムはいるでしょうか?

<お勧めの宿>
HOTEL RESTAURANT
La Meijette
ラ・メイジェツ ☆☆

HOTEL RESTAURANT La Meijette

・M. Me Juge さん
http://vialandis.reservit.com/
・tel 04 76 79 90 34
・Fax : 04 76 79 94 76
・hotel.lameijette.juge@wanadoo.fr
・住所:RN 91 05320 La Grave
・B&B(2人):57 - 85 EUR
・Logis de Franceロッジ・ド・フランス
・推選:テラス/部屋からの展望

2001.7.1  :1泊
2005.9.15-17:3泊

HOTEL RESTAURANT La Meijette
【泊まった部屋は4FのNo16】

HOTEL RESTAURANT La Meijette
【1998年の時のマダム】
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【v537.jpg:左正面の村はシャズレChazeletだろう。ラ・グラーブはその谷の下にある。右上はGr.Des-Rousses(3468m)の雪の山並み】

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【4068.jpg:おこないがいいので、見てくださいこの晴れ具合。氷河の蒸気が逆光のおかげ(?)で虹に見える】

 7年前の記憶がはっきりせず、かなり前の駐車場に車を入れてしまい、ホテルまで100mほど歩くことになりました。と、レストランからホテルに道路を渡ろうとしているあのマダムらしい女の人。そしてこちらを見て・・あのラファエロの笑顔がにっこり。

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【r001.jpg:2005年のマダム】 【v571.jpg:道路むかいのレストランとの間をいつも行ったり来たり】

 思わず足早に近づき握手です。当時と全然変わりません、ますます元気そうです。
「こんにちは、お久しぶりです」
「日本から来たあなたたちを覚えていますよ」
「もう7年も前なんですよ」

「あの後、毎年数人の日本人が泊まりに来ている」
「私のホームページにこのホテルやマダムの写真を載せているので、あなたは世界的にも有名なんですよ」
 たしか峠仲間のご夫妻も、以前ここに泊まった話を聞いたことがあるので、マダムの話も単なる社交辞令ではなさそうです。

「前回泊まった、あの3階(日本なら4階)の部屋が開いていたら、そこにしたい」
 一緒に部屋を見に行き・・真ん中のNo.16・・
「あーこの小さな部屋。屋根の傾斜の隅にトランク置いて、朝食をこのBOXに入れる仕組みになっていて」
 一泊が朝食込みで71Eur(約1万円/2人)、当初2泊と思っていたのですが(計約2万)、朝食(8eur)をスーパーで自前調達すれば(x6食=48eur)が浮き・・などと考え3連泊する(計約2.3万)ことに決めます。

−−−
 スーパーへの買出しを兼ね、翌日のハイキングコースを入手にインフォメーションに行き、片道2時間ほどという「プラトー」のコースに行くことに決めます。翌朝、
「ハイキングに行く、なにかあったときはよろしく」とマダムに言うと、
「ヘリコプターで迎えに行くから」と、ウィットに富んだ回答。

 思った以上に7時間もかかったハイキングから疲れきってホテルに戻り(16:30)、のどが渇いたのでレストランへ行くと、残念ながらドアに鍵。と、奥からマダムの妹さん(ほとんど同じ顔の姉妹)が厨房から出てきて・・おかげで生ビールが、この絶景のラメージュを見ながら飲むことが出来たのです。

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【v592.jpg:この眺めが、この宿の一番の売り物。正面のピークがLa-Meije(3982m)。氷河は(左:テーブル状)Tabuchet、(頂上直下)La-Meije、(右)Rateau。各種緑色とのバランスが最高】

 夕食もついでにとろうと話しかけますが、こちらの妹さんは英語がまるで話せません。だれか話せる人をと奥に連れて行ってくれたところが厨房で、そこには歳をとったご両親が料理の下ごしらえの最中でした。
「ディナーの時間は19:00から」とのことで、その時間にまた来ますと一旦部屋に戻ります。 妹と両親がレストランを仕切り、姉がホテル側を切り盛りしているのです。

 ところが妻が突然、日中の猛烈な快晴の雪目と、疲れのせいと思われる大頭痛。バファリンなどを飲みますが直りません、残念ながらレストランには行けません。

 回復した翌朝、ロビーにいたマダムにその旨話すと、
「昨夜妹が心配していた。自分や父が説明した意味がわからなかったのではないか、と言っていた」とのこと。

 その夕食時、レストランに行き妹さんに謝ります。
「姉に聞いてわかった」と笑顔。よかった。彼女は日本びいきなのでしょうか『武』『光』などの漢字を書いたエプロンをしています。ちょうどプレゼントにと日本から持ってきた『祭』と書かれた手ぬぐいを渡し、単語と身振で字の意味や使い方などを説明しながらの、笑い声の続く食事。白ワイン、クルミ・チーズ・ハムの大盛りサラダ、柔らかい子羊の肉などを、窓の外ラ・メージュの斜面に遊ぶ羊を見ながらおいしく食べたのです。

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【v693.jpg:夕日に焼けた山肌と氷河】

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【v675/v651.jpg:部屋のテラスからは、左(東)ロータレー峠方面、右(西)D'Oisansドワザン方面が見渡せる】

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【v656.jpg:夜:レストランのネオンがテラスの模様の間から見え】 【v776.jpg:モルゲンロート・朝焼けも部屋のベットからばっちりと】

 これがたそがれ時、朝焼けの風景です。部屋から寝ながら一晩中眺められるのです。
 そうです新田さんも、佐貫さんもこの村に泊まるべきだったのです。
 そして皆さんもこの風景を是非一度見てください。ラ・メージュに行くゴンドラが休みのオフシーズンにも、天候さえ良ければ絶対お勧め。ホテルも当然大歓迎、お待ちしています。

『このページのコピー持参の方、宿代5%引き(?)』か否かは、すべてあなたの口と腕とお土産次第? マダム・お姉さんへのプレゼントは沖縄の『紅型』の小物でしたが、効果はありませんでしたね。


<「プラトー」高原のハイキングは、さらにあなたを「ここに行きたい」と思わせるようになるでしょう・・ 次日曜夜UP予定>
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