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St.Martinザンクト・マルティン村 【17.jpg:ザンクト・マルティン村のガストフ】

katschberg-nockgebiet-pas-map 【map:この先の峠の分布と想定ルート(緑の線)】

St.Martinザンクト・マルティン村
 「この付近にThomatalトマッタール(泊まったる)」・・・なんて冗談言っている余裕は無いのかも知れません。

 祝祭日、宿をやっと探して。このテラスでのムーラウワービールの喉ごしは、本当にうまい。「今度はワイン」と言うと、「冗談でしょう」とあの娘が返してくるのです。
[北村 峠一].(eu-alps)      


<2003.6.8(日)>
 暑いMurauムーラウの町を出て、Murムーア川に沿って上流に向かっています。本来ならこのムーラウで2泊し、この南に面した山岳地帯の、2000mを越えるいくつかの峠を一周する予定だったのです。(右下の地図参照)

 同じ場所に2連泊することは、今まで僕たちにとって贅沢なことでした。次の日に宿探しをしなくてよい点、宿の人たちと仲良くなれること、周囲の散策などがゆっくり出来て、理想なのです。しかし、短期間でたくさんの峠めぐりをしようとすると、なかなか実現できなかったのです。今回はこの周辺に理想的な配置で峠があり、当初からこの周辺で連泊と考えていたわけです。
Zimmer-Frei
 そんなことから、あまり先に行かないほうがと思いながら道に沿った宿を探すのですが、普通なら簡単に見つかる宿のマーク「Zimmer-Frei空き室あり」の小旗がなかなかみつかりません。

 このLungauルンガウ平野の北の方向には、さっき走ってきたオーバータウエルンの残雪の山や、その手前に見える教会や城、タウエルン・トンネル方面の谷が見渡せるなど、眺めのいい豊かな場所です。道はThomatalという小さな谷の村に入り、「ここでトマッタール(泊まったーる)」などと冗談を言ってみますが、本来なら宿をやっているはずの民家に、「空き室」のカンバンや旗が出てこないのです。

thomatal
【c0.jpg:谷の向こうはオーバー・タウエルンの雪山だろう。右の白い建物は?MautendfとTamswegの間だろう】
thomatal
【d0.jpg:左側の開けた谷がタウエルントンネルの方向。Lungauルンガウ平野は緑豊かな場所だ】

 宿はなかなか見つからず、ついにもうすぐKatschbergカッチュベルク峠という道すがらに、レストランを見つけます。確かこのあたりは古代ローマ時代からの街道のはずだから、もう少し行ったらたくさん宿もあるだろうと、次のSt.Michaelザンクト・ミヒャエルまで行きますが・・・結局そのレストランまで引き返します。

thomatal st-martin
【d9.jpg:St.Margarethen im Lungauを越え】 【02.jpg:St.Michaelまで来て戻る】

Lungau/St-Martin周辺
【聖マルティン周辺】
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 St.Martinザンクト・マルティン村の、このガストフの前庭は、ビールを飲む農家の人たちで賑わっています。
「泊まることはできるか」と店の娘に聞きますが、彼女が答える前に客が
「ここはいつも空いているから大丈夫さ。1階だよ(2階をFirst-Floorという)」と上を指差します。でも、娘は心配そう。
「シェフに聞かないとわからないので待って」とどこかへ電話します。

 どうしてでしょう?東洋人だから?従業員の判断では泊められないのでしょうか?
「どこから来たんだ」「日本からか、遠いよなー」「今日は特別暑い」「早くビール飲みたいだろー、うまいよ」 お客さんたちはものめずらしい旅行客に、てんでに声をかけてくれます。
「飲みたいけど、部屋に荷物を上げてから・・・」 本当に飲みたいのです。が、もし泊まれないなら、また車で移動しなければならないので我慢。

 しばらく待って、道路の向かいの母屋から宿のマスターが来て部屋を見せてくれます。どうやら祝祭日、それも後でわかりますが日・月の2連休ですべての商店は休み、このようなガストフやペンションは、ホテルまでもが閉めているところが多いのです。

st-martin
【35.jpg:ガストフ・ランクマイヤーの南側の眺め。母屋や長期滞在のアパートもある】

st-martin <Gasthof-Pension Lankmayer>

ガストフ・ランクマイヤーの宿:店先のビアガーデンは、四季の山を愛でるハイキング・登山スタイルの客でいつも賑わっている。僕たちはこのレストランの2階で宿をとったが、別棟のペンションには長期滞在客も。
 ○http://www.sbg.at/gasthof-lankmayer/
 ○http://www.mentenwirt.at/
【場所:St. Michael im Lungau, St Martin 7 5582、電話:06477/8261、地図
st-martin
【29.jpg:教会への道と祠】

st-martin
【26.jpg:ガストフ・ランクマイヤーの前庭、レストラン風景。あの白いパラソルの窓の部屋に泊まる】

murauer-biermurauer-bierst-martin murauer-biermurauer-biermurauer-bier
【19.jpg:大ジョキー(2.6Eur≒350\)、小(2Eur≒270\)】

 もう喉が我慢できません、ビールです。そしてすぐお代わりです。 murauer-bierMurauerムーラウアー、あのムーラウの地ビール、もう信じられないほどうまいのです。

 そしててこの娘の薦めかたもうまいのです。山歩きから帰ってきた2人の若者たちが、デイザックを横に置いて飲み始めます。彼女はちょっと声をかけるだけでタイミングを置かず、すぐ次のグラスを運び、カウンターでメモ。あっという間に6杯のグラスが並び、その後到着した4・5人のメンバーと延々と飲み、僕たちが部屋から見下ろしていた限り10時過ぎまでの6時間以上、そこで粘っていたのです。多分ビアダルの1本くらいは飲んだでしょう。そしてカンバン娘のおかげで、店は大はやりです。
st-martin
【423.jpg:牛豚鶏3種のグリル(10.6Eur≒1400\)、シュニッツェル(7.5Eur≒1000\)】

 テラスのもう一角は、来たときからすでに出来上がっていた、さっき声をかけてくれた農家の人たち。明日の峠への道路地図を持って、どんな道かを聞きにいきます。
「Nockalmノックアルム自然公園の峠は、眺め、道とも最高だよ。有料道路だけど・・・」「運転は大変ですか?」「まだ20歳のあんたなら大丈夫さ」「どこを走ってきたんだい?」
 ミュンヘンから、オーストリア・スロベニア・イタリアを経てまたオーストリア。「ベルヒデスガーデンを通ってミュンヘン」と説明したとたん、一人のおじさんがわめきだします。
「ベルヒデスガーデンはけしからん!」「ヒットラーの場所だ!」「あいつらドイツは・・・あんなところには行くな!」はっきりした意味はわからないのですが、このすっかり酔っ払った60歳代のおじさんは大声で怒鳴ります。

 隣国どうしは、もともと仲が悪いもの。さらにこの村はザルツブルク州でベルヒデスガーデンと隣接。60年程前の第二次大戦でドイツ・ヒトラーに占領され、何人もの家族・知人が殺されたその大変な思いが、「ベルヒデスガーデン」という単語が、「ヒトラーの別荘があった場所」の連想で爆発したのでしょう。
「まあまあ・・・」「旅行者なんだから・・・」いつまでも大声でわめいていたそのおじさんは、いつの間にか僕たちの聞こえない場所へ同席の人が連れて行ったようです。
murauer-biermurauer-bier
 僕たちも一度部屋に戻り、風呂上がりのさっぱりしたところで、また夕食に下りてきます。
「今度はワインにしようかなー」という私に、あの娘は「えー!!ワインなの?」と。
・・・そして、またもおいしいビールを2杯。

 ほろ酔いのたそがれ時、ガストフのすぐ北側の村の教会に散策にいきます。建物の壁には、無造作に古いフレスコ画や彫刻が描かれています。建物の中の説明文を撮影しましたが手ブレ、酔っていたからでしょう。聖マルティンの分教会、1179年頃建造のロマネスク様式、たくさんの聖人の名前がそこに書かれていました。

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【424.jpg:教会の塔、入口】

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【427.jpg:フレスコ壁画】
【426.jpg:壁画・左部分】  【4262.jpg:壁画・右部分】  【428.jpg:壁画の解説】  【429.jpg:分教会の解説】

 涼しくなってきたルンガウ平野のムーア川の草原を、酔いを冷ましながら散策します。遠くカッチュベルク峠方面の山が、夕暮れの光に霞み、若者たちが川原にテントを張り、たわむれ、おしゃべりする声をなつかしく感じながら。

st-martin
【430.jpg:カッチュベルク峠方面、遠くタウエルンのアルプス。セリ科の牧草・花が道傍に】
 ●1525-26年:ザルツブルク農民戦争で、チロルの農民指導者ミヒャエル・ガイスマールMichael Gaismairが軍を組織し、この地付近通過/戦う。

<早朝、St.Michaelザンクト・ミヒャエルまで散策。そしてカッチュベルク峠へ・・・>

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