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【d973.jpg:Alpine Salamandraサンショウウオ科:イタリア:Crissolo〜Pian de Reで】

<Alpine Salamandraサンショウウオ科>

 i:体長10-15cm、前・後足4本の指(日本の種は、前足4本、後足5本指)
 ○http://www.herpetofauna.at/【英:Alpine salamander/仏:Salamandre noire/伊:Salamandra alpina】
 ○http://tolweb.org/Salamandra
 ○http://fr.wikipedia.org/wiki/Salamandra
 ○http://www.comune.massello.to.it/

Aix-les-Bainsエクス・レバン:
深夜の恐怖

圧迫感で汗が噴出す、旅から逃げ出したい・・・??

フランス:Rhone-Alpesローヌアルプス地方(73Savoie県)】[北村 峠一].(Kitamura)      


●2007年6月6日(水)深夜12時、旅が始まってまだ2日目の夜なのに・・


 歯磨きしないまま夜8時過ぎ、強烈な時差の眠気でベットに入る。口の中が粘っている感覚で目覚め、歯磨きしたのは10時半頃。再度ベットにもぐり込んだが、11時、例の何か押さえつけられるような気持ち? 圧迫感? で目が覚めた。そして寝っていられなくなった。

Geneve〜Aix-les-Bains
【Hotel Le Clos du Lacの三角窓は小さい。天井も圧迫感】
 起き上がり、喉がからからなのでペットボトルの水を一杯。
 汗が噴出してきて、寒さ対策に着ていたフリースを脱ぐ。
 三角屋根の天井の圧迫感を感じ、窓を開けて外気を吸う。
 2階から見下ろす中庭を青白いライトが照らし、山特有の雨がしとしとと降っている。
 冷気を何度も何度も深く吸い込むが、圧迫感は消えない。

「明るい外に出たい、いたたまれない。でもここはフランス、エクス・レ・バンの宿の小さな部屋。廊下に出ても暗いし、どこに行けば良いんだ?」
「これはたぶん『閉所恐怖症』なのだろう」

 結局、今いる場所、バス・トイレのある2m四方ほどの部屋に入り、天井と鏡の明るい電灯を点け、なんとかなりそうと自分に言い聞かせる。またも冷や汗がどっと噴き出してきた。
「目の前の水道の水は飲んではいけない」と再度、暗い妻が寝ているベッドルームに戻り、ペットボトルの水を飲むがそんなに簡単には落ち着くはずがない。

「逃げ出したい、まだ旅は1ヶ月残っているが帰国したい。もうこんな状況じゃあ海外旅行なんか2度と出来ない、死ぬまでこんな感情に襲われるんだろうか、いたたまれない」
「何が原因なんだ? 医者に一度相談するか? もしかするとさっきのあの時、心臓が止まっていた?」
「でもそんなに息苦しくはなかった、無呼吸? 血がドロドロに固まりそう?」

 あわてて荷物をかき回し、ディザックの中にあるバッファリンを2錠口の中に放り込む。ちょっと苦い味を感じる。何かやろうと、ノートパソコンと電源アダプターを取り出し、バス・トイレの部屋で今の状況を書き始める。

【0017.jpg:ケムシ:綿菓子のような巣網の中に:オーストリア:Warth-Lechleitenにて】

<Caterpillarケムシ:関連サイト>

 i:毛虫:チョウやガ類の幼虫のうち、毛やトゲが生えているもので、実際に有毒なのはごく一部に過ぎない。
 ☆http://ja.wikipedia.org/【ガ(蛾)とは、節足動物門・昆虫綱・チョウ目のうち、アゲハチョウ上科、セセリチョウ上科、シャクガモドキ上科(日本に250種類)を除いた分類群の総称(日本に3500種類)】
 ○http://fr.wikipedia.org/wiki/Mite【ガ:英:Moth/仏:Mite/伊:Falena】
 ○Wood Boring or Cossid Moth (Cossidae)
−−−

●今、このトイレ空間の密室に俺以外の生き物がいた・・


 蝿だ!
 俺がパソコンを持ち出し、トイレの便器の蓋を椅子にしてこの文章を書いていると、どこから来たのか、俺のすぐ目の前を突っ切ったり、大きな鏡にぶつかったりと、大騒ぎをしていた。邪魔だと手で振り払ったが、しばらくするとまたやってくる。

 無視してパソコンに集中している間に、彼は疲れたのか俺の組んでいる脚の先のスリッパに止まって居眠りしているようだ。体温を若干感じるスリッパの居心地がよく、俺も組んだ足をほとんど動かさないので、本気で寝りだしたのかもしれない、深夜だし。

 今がチャンス。パソコンが落ちないように左手で押さえたまま、そーっと近くにあった足拭きマットを取り、彼に向け振り下ろした。なんとあっけなく床に落ちた。トイレットペーパーを10cmほど切り取り、死んだ蝿を抑えようとした瞬間、彼は脇に逃げた。一瞬気を失っただけだったのだ。トイレットペーパーで2、3度追いかけたが、徐々に体力も取り戻しバス・カーテンやバスタブの壁に逃げる。

 こうなったら一騎打ちしかないと、パソコンを便器の蓋に置き、足拭きマットで追いかける。やはり奴は先ほどのショックが効いていて飛び方が下手、低いところしか逃げ回れない。数回の空振りの後、壁面の黒っぽいタイルに保護色で隠れた奴を叩き落し、バスタブ内に落とした。

 最後のとどめは、先ほどのティッシュペーパー。あえなくゴミ屑と化してしまった彼を、夕食に料理でむいたキューリの皮や、不要な紙皿の入っているゴミ箱に捨てた。

 俺の閉所恐怖の感は消えていた。もしかすると彼があの感覚を持ってきたのか? だとするともうこの恐怖は再発しない? であれば嬉しいが。
 なぜかカフカを思い出す。彼はこんな作品を書いていたのだろうか? 「壁の中」とか「うじ虫」とかいう題で? 帰国したら捜してみよう。

 そういえば小さい頃から、暗いところに閉じ込められる夢、そこから逃れだそうとするが、はいずり出そうとするが、行けども行けども暗い狭いところ。一番いやな夢はこれだった。

【r946.jpg:Limaceナメクジ科:Slug/Lumaca:オーストリア:Semmeringゼメリンクにて】

<Limaceナメクジ科:関連サイト>

 i:蛞蝓:陸に生息する巻貝(軟体動物門腹足綱)のうち、殻が退化しているもの
 ○http://fr.wikipedia.org/wiki/Limace【英:Slug/仏:Limace/伊:Lumaca】
−−−

●大人になってあの感覚が再発したのはいつのことだったろう・・


 2004年が具体的に感じた最初かもしれない。いつもの成田発パリ行きの夜便、3人がけの窓際の席、乗客のほとんどが寝静まり、隣には妻が寝ている。そんな真っ暗なところで、最初のこの感情・感覚で目覚めた。そして汗が噴き出した。

 身体があまり動かせない。特に窓際、頭の上に三角の壁が迫ってきて、閉じ込められたような感覚。窓のスライドをちょっと上げてみたが、外も真っ暗。電灯を点けると、周りの人に迷惑がかかりそう。
 たしかその時は冷や汗でびっしょりになるまで我慢した後、妻と通路側の客の膝を越えトイレに行き、今と同じように深呼吸、水を飲み、屈伸運動で身体のあちこちを動かした。

 少し落ち着いたあと、再度暗い座席に戻り、PDAを内部照明付きで立ち上げ、そこに前から作っていた峠のデータに「通過した年」を追記することに集中した。何かすることがあれば、そして明るければ何とかなる。

 帰りの飛行機でまたそんな感覚になるのはいやだと思っていたところ、旅の終わりにミュンヘンで友人の娘さん夫婦との雑談の中、
「エコノミー症候群の防止にはバファリンが効く(*1)下欄参照」という話が出て、以降フライトの直前バファリンを1錠飲んでみた。通常使用は2錠と言われたのだが、薬は飲まない主義なので仮に1錠で効かなかったら再度追加しようと考えた。
 さらに安全も考え窓際の席は敬遠し、通路側の席を確保してきた。その後確かに3年間、5回のフライトで再発していないから、あの発作はエコノミー症候群になりかけていたのかと思っていた。

 ところが今回の旅の3日前の深夜、自宅なのにあの感覚と汗の噴き出しに襲われ、階下のトイレに行き、水を飲み、顔を洗い、バファリンを1錠飲んで収まった。機内でもないのにどうしてエコノミー症候群になるのだろうと不思議に思った。また機内で起きるのを心配したが、ここに来るフライトでは大丈夫だった。そしてこの旅の2泊目の宿で起きたのだ。

 すべてに共通するパラメータは何か? 毎回赤ワインをボトル半分位飲んでいたかも知れない? そしてのどが渇き、水が飲みたくなって目覚めたとき。 そして周りが暗いとき、圧迫感と恐怖のようなものが襲ってくるのか。とすると対策は? ワインを飲みすぎた時は、同量以上の水を飲むことだろうか。

−−−−−−−−−−−−
 以上を書いたところで朝の2時。妻がトイレに起きたのでベットに戻り、昨日の行動記録メモを叩きはじめた。 (以上 2007.6.7 早朝 記)


【0010.jpg:Escargotカタツムリ科:Snail/Chiocciola:イタリア:Val-Funesフネス渓谷にて】

<Escargotカタツムリ科:関連サイト>

 i:蝸牛:代表的な陸に棲む巻貝
 ○http://fr.wikipedia.org/wiki/Escargot【英:Snail/仏:Escargot/伊:Chiocciola】

●以下帰国後に追記。・・ある種の反省文・・


 あの発作の翌日、旅の1ヶ月間はすぐ右の助手席にいる妻が、私が運転中しきりに肩や首を動かしていることにすぐに気づき、
ピップ・エレキバン 「今年も大量にエレキバンを持ってきたから」と6個を一気に貼らされた。

「毎年、旅の最初の頃は肩がパンパンになっているのを忘れたの? 早くから貼ればいいのに」と。

 風呂上りタオルでこするせいか、いつの間にかなくなった3−4個のエレキバンを補充し、今回の「旅生活」も無事終了した。

 ユーロ高でランクを落とした今回のほとんどの宿は、あって1つ星。B&Bや山岳ロッジの部屋は小さな窓、屋根裏のような斜面の天井、薄暗い部屋が多かった。再発するのではないかと時々心配もしたし、ワインも毎日飲んでいたけれど、あの後何もなく1ヶ月が過ぎた。

 結局あの圧迫感・恐怖感は、ひどい肩こりで血液が頭部に上がって来にくくなっている症状なのかもしれない。酸欠の脳がアラームを発していたのだろうか。

 旅の直前、旅先へのフライト、最初の頃の宿で起きやすいということはなぜなのだろう?
 多分自分の頭の中では『毎年の旅なので当たり前のこと』と思っているのだが、実は俺のかぼそい神経や、衰えつつある身体は、
『またあの連日の峠道の運転が始まって、いつも違った場所に移動して、安い宿を探しまわり、知らない人ばかりの中に飛び込んでいく[つらい1ヶ月]が始まるのか』 などと予想してピリピリしていたのだろうか。

 いずれこのデリケートな彼ら(自分自身?)とも一緒に楽しめるように、「旅生活」のスタイルを徐々に変えていくことにしよう。目的の峠もかなり目途が立ってきたし、若干体力の劣化も気になってきたことだから。(2007.7.13追記)

●その後の情報:

(*1)「エコノミー症候群の防止にはバファリンが効く」?

 ・アスピリンには血栓防止(血液をサラサラにする)作用があるようだ。
 ・町の薬局で市販されている「バファリン」には、現在アスピリンは含まれておらず、血栓防止効果は期待できないらしい、 との情報も見つけた。  でも一方、町の薬局で市販の「バファリンA」にはアセチルサリチル酸(これがアスピリンの成分)330mg含有、「バファリンプラス」には同250mg含有とのことで、なぜ効果はないというのだろう。
 ・医者に行くと、血栓防止には「バファリン81mg錠」「バイアスピリン」<医療用>を処方されるようだ。一方「薬屋で市販されている小児用のバファリン」の主成分はアセトアミノフェンで、血液が固まることを抑制する作用はないらしい。


●どんでんがえし ??・・!!


 こんなことをネットで調べていて、ふと 「今使っている薬は 具体的には何?」 と手元に持ってきた。
 !!! な、なんとそこには「バファリン」ではなく、「イブEVE」と書いてあった・・
 その成分にも、上で書いたような名前が出てこず ・・ 「イブプロフェイン」なんていう名だった。(150mg/2錠)
 ネットで見ると、解熱鎮痛剤 「痛みを発生する物質の発生を抑えるものでアセトアミノフェンよりも効果が高い」・・

 ??? 結局・・エコノミー症候群には何も関係ない薬を、それもたった1錠(規定の半分)飲むだけで・・症状が収まった・・
 !!! これって  「思い込みで 直った」 ということ??  単なる肩こり だった??

 さらに見つけた ・・「使用期限2005.04」 との押印を。  やはり薬の話は、ネタにしないほうがよさそうだ。 (2007.9.30追記)


<関連サイト>

 ☆「ハエ」【双翅目:そうしもく/ハエ目:福光村・昆虫記】
 ☆「ハエ」【Wikipedia】
 ○http://fr.wikipedia.org/【Wiki:仏Mouche/伊Mosca/独Zweiflugler/英Fly】

 ☆エコノミークラス症候群ってなに?
 ☆ロングフライト血栓症(LFT)ってどんな病気?
 ☆エコノミークラス症候群の防止法
 ☆『青竹踏み』でエコノミー症候群防止

 ☆フランツ・カフカ【Franz Kafka:1883-1924、プラハのユダヤ人家庭に生まれ、不安と孤独を漂わせる幻想的な作品が多い】

<フランス・ワイン>

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<関連HOTELなど>

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<ハンニバルが通過したかもしれないモン・デュ・シャ山へ・・・>
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